黒鷲は東の未来より舞い降りる
<8>





極東の島国最大の国際港。 欧州からやって来た大型客船の到着に、歓迎のラッパが高らかに空に鳴り響く。
「師匠っ」
思わず声を上げる日本に、プロイセンは軽く手を上げてにやりと笑った。 人の波に埋もれそうになりながら、息急き切って目の前までやって来ると、 くるりと見開かれた瞳が、まっすぐとこちらを映す。
「まさか、貴方がいらっしゃるなんて…」
驚愕のままに零れるそれに、わざとらしく肩を竦めた。 おいおい、久しぶりに再会して、最初の言葉がそれかよ。
「優しいお師匠様が、遠路はるばる弟子の様子を見に来てやったんだぜ」
もうちっと、別の反応は無いのかよ。
ああ、日本はきっちりと姿勢を正すと、改めてプロイセンと向き合った。
「お久しぶりです、我が師プロイセン王国殿」
ようこそおいで下さいました。
差し出された小さな手。 しっかりとそれを握りしめると、その小さな体を軽く引き寄せ、もう一方の手で細い肩を叩く。 遠慮の無い力は強く、その痛みに顔を顰めると、プロイセンはケセセと笑った。
「元気そうだな」
「はい。師匠もお変わりなく」
お会い出来て嬉しいです。
ここで漸く、緊張が緩んだように、互いに柔らかい笑みが浮かんだ。





こちらの要請を受け入れ、陸軍軍事指導者としてプロイセンが指名したその人材に、 日本は元より関係者は一様に驚いていた。
「本当によろしいのでしょうか」
「何だ、俺様の人選に不満でもあるのかよ」
「とんでもない、不満なんてっ」
ぶんぶんと日本は首を横に振った。
彼が派遣した教官は、正にプロイセン陸軍の第一人者、軍事戦術の権威と呼べる人物である。 こちらの望みを遥かに上回る破格の待遇に、最初は何かの間違いかと、信じられなかった程だ。
二人乗りの馬車に揺られながら、やれやれとプロイセンは髪を掻く。全く、強欲なのか、謙虚なのか。
「強くなりてえんだろ」
列強国に肩を並べ、生き残る為に。目を細めて聞いてやると、きり、と日本は口元を引き締め、厳かに頷く。
「はい」
生真面目な所は相変わらずらしい。暫く間を開けてはいたが、それでもやはり、こいつはこいつであるようだ。 によっと笑うと、プロイセンはその艶やかな黒髪をうしゃうしゃと撫で回す。 ああ、この触り心地も変わっていない。
「よし、それでこそ、俺様の弟子だぜ」
そんなお前に見合うだけの専門家を派遣してやったんだ。 お前は素直にそれを受けて、きっちりしっかり学べばいいんだよ。
その通りだ。彼はこちらに期待して、それに見合う人材を派遣してくれた。 ならばきちんと目に見える成果を上げることこそが、その好意に応えることになる。
「あ、ちなみに一つ。あいつには任期の事は言うなよ」
とりあえず、告げるタイミングを見計らっている所だから。それまでは、絶対その事に触れるな。
はい?首を傾げる日本に、プロイセンは視線を巡らせる。 二人しかいない馬車の中。身を寄せると口元に手の甲を添え、声を潜めて耳元での打ち明け話。
「実はあいつには、一年任期って話で通しているんだよな」
それに、日本はぎょっとした。何という事だ、こちらは最初から三年間の任期として依頼を通していた。 騙されたのか?すっと細めた疑いの目に、プロイセンは悪びれた様子も無くによによ笑う。
「師匠、それは…」
「心配ねえよ。あいつはちゃんと三年間、顧問を務めるって」
間違いねえ。保障する。師匠である俺様を信用しろ。 無駄に自信満々に胸を逸らせる彼を見上げ、日本は呆れたように脱力した。 掌で顔を覆うと、長い長い溜息をつく。 当てつけがましいそれに、むっと唇を尖らせる。何だよ、信用ねえな。
「軍の皆さんに、なんと申し開きをすれば…」
「だーかーらー、大丈夫だっつーの」
あいつはちゃんと三年任期を承諾する。絶対だ。
「でも、一年の滞在だからこそ、彼は来日して下さったのでしょう」
責任感が強く、軍人としても人としても立派な御仁である事に疑いは持っていない。 彼ほどの有能な大人物が、その職務を一時離れ、欧州くんだりからこの辺境の極東の地まで足を運んたのだ、 その覚悟の程も推し量れよう。
しかし、欧州とこの国では生活文化が違うのだ。 彼だって最初は渋り、彼の愛するドイツワインがこちらに輸入されているとの確認を受け、漸く了承したと言う。 異国の地に滞在する不安と、苦痛と、特に食生活等から生じる文化摩擦は、自身が身を持って知っている。
がくりとうなだれると、ぺしりと旋毛を叩かれた。 実に理不尽な痛みに、恨みがましい視線を向けると、存外に真剣な彼の目がこちらを見下ろしていた。
「あいつは、途中で仕事を放り出す奴じゃねえ」
根っからのプロイセン軍人だ。 しかも、面倒見が良い所があるから、情が沸けば職務とは関係なく、存分に手を掛ける筈である。 でなけりゃ、寧ろ一年で充分だと思えるほどに、教育が行き届いたと判断したか、そのどちらかだ。
「…その根拠はあるんですか?」
彼が責務を途中で打ち切る事無く、全くの縁もゆかりも無い我が軍に対して、 それほどまでに過剰な情を感じる…そう言い切れるだけの、確固たる根拠が。
「ある」
「何を以って?」
「この俺様がそうだからな」
プロイセン国における、最高軍事専門家の第一人者だぜ。俺様と同じに決まっているじゃねえか。
腕を組み、胸を逸らせ、ふんと自信満々に言い切るプロイセンに、一瞬日本はぽかんと呆けた。
言葉の意味を頭の中で何度も反復し、やがて日本は気恥かしく視線を落とす。 ああ、もう。この人は、何を言っているんだ。 むずむずする唇を誤魔化す為に、八つ当たりのように睨み据える。当然、効果などは発揮できない。
「なんだよ」
「…いえ」
相変わらずだな。変な顔してんじゃねえよ。
失礼なとは思うのだが、多分彼の言う通り、変な顔をしているのだろう。誤魔化すように、日本は頬を撫でた。


果たして。
その軍事顧問は、結局こちらの当初の要望通り、三年の任期を無事に終えた後に本国へと帰国した。
後の戦争の際、ほぼ全ての周辺諸国が日本の敗戦を予測する中、 日本の勝利を信じて疑わず、彼なりの作戦を書簡にしたためて助言し、 自ら「日本人」と称して勝利を喜ぶ…日本陸軍の父とも称される、そんな人物であった。


足を組んで頬杖をつき、がらがらと揺れる馬車から窓の外を眺める。
「ここがお前の国か」
楽しそうに目を細めるその横顔は、相変わらず彫刻のように整っている。ああ、この人がやって来たんだ。 そう思うと、身が引き締まる心地と同時に、誇らしさと、気恥かしいくらいに胸の奥が沸き立つ。
師匠。呼ぶと、ん?と向けられる視線。その距離が嬉しい。
「ようこそ、我が国へ」
にこりと笑うと、軽く瞠目する。そしてやや不遜げに唇を吊り上げると、おうと頷いてくしゃりと笑った。

















菊の入団には、時間が掛かった。
理由はやはり、性別である。 他国の騎士団の状況を全て把握している訳ではないが、 少なくともドイツ騎士団において、女性騎士の入団は今まで一度も無い。
彼女の身上は、騎士団内ではそれなりに知られたものであった。 彼女の住まう修道院は関連修道院の中でも主要の一つであり、 故に訪れる騎士団員も多く、時には修道院の使いとして彼女自身も本部へと足を運んでいた。 そんな環境なので、菊を見知る者、よく知る者は当然多い。
だからこそ、入団を反対する者もいた。まだ幼い少女だ。 隔離された修道院に住まい、世間を知らぬが故の、真面目で一途で純粋な信念が哀しい。 彼女はまだ、戦争どころか、世の中がどのようなものなのかさえ知らない筈である。
ただ、騎士団総長は菊の能力を酷く高く買っていた。 試合で見せたあの並外れた身体能力は他では得難い逸材だ。 この厳しい戦況が続く中、非常に貴重な戦力になる事は間違いない。
更にもう一つ、彼が菊を推す理由があった。世論である。
かの大会は、この町にはそぐわない程の大きな規模で、参加者を募り、開催、運営した。 平和で小さな町にとってはちょっとした事件であり、終わった今でも、 その時の熱気が興奮が町中のあちこちに燻っている。 そんな中、優勝した少女の顛末は、一種語り草となって人々の口に上っていた。
まだ幼い少女が、大人顔負けの試合をこなし、見事優勝を果たす。 しかも衆目の前でドイツ騎士団に宣誓し、女の命とされる豊かで長い髪を自ら切り捨て、 入団を申し出る覚悟の深さと潔さは、その場にいた観客全員に深い感動を与えた。 まるで作り話のようなそれは、如何にも大衆が好みそうなモチーフだ。
確かに美談であろう。 命の恩人であるドイツ騎士団の為に、あれだけの剣術と身体能力を身につけ、 自らの全てを捧げて戦いたいと願う忠誠心は、誰もが思い描く騎士道の理想的な姿であった。 信仰心厚い騎士団の中には、感動に目を潤ませる者さえいた。
髪を切り落とす事で女を捨て、そしてもう引き返せないと、彼女はその意志の固さを証明した。 同時に、そのセンセーショナルな行為によって、観客を味方につけたのである。 これがもし彼女の計算の内ならば、大した策士だ…そう苦笑した誰かに、まさかと誰もが肩を竦めたが。
兎に角、今彼女の入団の許可を出さなければ、あの試合の顛末を観ていた観衆の反感が懸念された。
結局長い審議の結果、今回は特例として、補助騎士団員の形で菊の入団が認められる事になった。





補助団員は正式な騎士団員では無い。 兵力不足の際や、特殊な場合のみ戦力として加わる、言わば臨時の派遣団員であった。 当然、正式な団員とは待遇も違い、役職に就く事も無ければ隊を任されることも無い、 生涯一兵士としての扱いに終始することとなる。
だが、比較的自由の利くこのニュートラルな立場は、菊にとっては寧ろ都合が良かった。 形式上、直属の上司となる隊長は、戦禍の村で拾われた際、ドイツ騎士団と行動を共にしていた騎士だ。 彼は幼い頃から互いに良く見知った親しい間柄でもあり、このささやかな配慮は有り難かった。
基本、騎士団員は本部にある宿舎で生活をする。 しかし補助団員は、騎士団からの要請があるまでは、住む場所も、訓練も、全てが自由だ。 なので菊は本部の町にある教会の修道士用の宿舎に、居住する事にした。
入団が決定してからの菊は、連日のように本部へと足を運んでいた。目的は書庫室だ。 ここには、修道院のものよりも更に詳細なドイツ騎士団に関する記録が残されている。 閲覧の希望を申し出ると、元より書物好きと知られていただけに、問題無く許可が下りた。
先ずは、修道院では知り得なかった、ドイツ騎士団の実情を把握したい。 自分の立場上、作戦や今後の展望の詳細を知る事は叶わないが、 それでも今までの記録を読み解けば、自分の知る歴史の記憶と照らし合わせ、 その先を予測する事は可能であろう。
せめてこの命のある内に、プロイセン公国を確立させたい。
それが、目下の菊の目標であった。
胸の黒十字に刻まれた数字は、今も史上最初の世界大戦終結の日付から変わらない。 何が原因かは判らないが、でも自分の知らない歴史を辿る今、ドイツ騎士団の存続さえも危うい実情だ。 このままでは、更に数字が遡る可能性さえ否定できないだろう。
しなくてはならない事は沢山ある。日々の鍛錬も欠かせない。 新たな道具も準備が必要だ。忍びの技ももっと磨きたい。 時間は無い。未来の自分とは違い、今の自分には寿命という確固たる期限がある。
小走りに本部の廊下を通り抜け、角を折れた所で、はた、と菊は足を止めた。
壁に背を預け、窓から差し込む陽光にきらきらと髪を透かせる、小さな幼子の姿。 じろりとこちらへ向けられる真紅の瞳から、どうやら彼は、菊がやって来るのを待ち受けていたらしい。
人伝に聞いた話だが、今回の入団の審議、 最後まで菊の受け入れに反対していたのはドイツ騎士であったらしい。 余程不本意であったのだろう、腕を組み、如何にも不機嫌をアピールしたその顔に、菊は内心でくすりと笑う。 思えば、彼を目にするのは、簡易で行われた叙任式以来だ。 しかしあくまで儀式的なものに過ぎず、遠い距離から形式として対面したに過ぎない。
菊はつかつかと足を進め、そして立ち止まった。
背が…。
正面に立つと、視線が下がる。 同じ年頃の子供より自分の背は低い方だと思っていたが、 それでも知らぬ間に、ドイツ騎士団を追い越してしまっていたようだ。
見上げてくる赤い瞳の奥に、彼なりの複雑な感情が透けて見え、菊は丁寧に片膝をつく。 そして胸に手を当てて、こうべを垂れた。
「お久しぶりです」
頭上で小さく息を飲む気配を感じた。
「このたびは、新たに騎士団員としての入団をおゆるしいただき…」
「やめろ」
そんなご丁寧な口上が聞きてえんじゃねえよ。手の平でぺしりと旋毛を叩かれた。 理不尽な痛みにそっと顔を上げると、ドイツ騎士団は酷く神妙な顔でこちらを見下ろしている。
言いたい事は山ほどあるのであろう。 なんで入団したんだよ、あの剣術はどうやって身に付けたんだよ、どうして今まで黙っていたんだよ。 そんな諸々にもごもごと口を動かし、しかし結局言葉に出来た言葉は。
「…なんで、きったんだよ」
憮然とした声。首筋で揺れる毛先の感覚には、漸く慣れてきたところだ。
「わたしは女ではありませんから」
この騎士団に入る際、長かった髪と共に女を捨てました。
事実、菊自身、自分に対して女を意識することは殆ど無い。 日本としての意識を強く引き摺っている為であろう。
「…きれいだったのに」
ぽつりとした呟き。拗ねたような声。 手を伸ばすと、いつもよりも丁寧な手付きで、さらりと短くなった黒髪を撫でた。 滝のように流れた豊かなそれは、今は簡単にするりと指先から零れる。
子供であり女である自分が騎士団に入るには、 それを許可せざるを得ないだけの、強烈なパフォーマンスが必要だった。 目立つ事を極力避けたかった自分が、あの大会で強豪相手に派手な優勝を果たし、 およそ似合わない一か八かの大芝居を打った理由はそこにある。 内心ひやひやしながらの大博打ではあったが、こうして入団出来たと言う事は、 多少なりとも功を得たのであろう。
「みじかい髪は、お嫌ですか?」
きりっと眦を吊り上げる。
「そんなこといってねえだろっ」
長かろうが短かろうが、お前はお前じゃねえか。だけど。
「…もったいねえじゃねえか」
短くした髪を痛ましく見る者もいるが、菊にとっては大したことでは無かった。 この時代特有の、髪は女の命といった概念は薄い。手入れが楽になった程度の感覚しかなかった。
ただ、自分にとってはつまらなくて、ありきたりで、コンプレックスの塊であったこの髪を、 ドイツ騎士団は酷く気に入ってくれていた。さらさらしてて俺様好みの触り心地だぜ。 そう言いながら、何かにつけて手を伸ばし、くしゃりとかき混ぜ、さらりと撫で、丁寧に梳いてくれていた。 それを思うと、ほんの少しだけ感傷が胸を過ぎる。
「わたしには無用のものです」
はっきりと言い切る菊に、ドイツ騎士団は眉根を寄せた。 何かを言おうと開きかける唇は、やや逡巡した後。
「おまえは、バカだ」
「…はい」
目尻を下げて、小さく笑う。我ながらその通りだと思う。しかし、自分はこんな生き方しかできない。
はあ、とドイツ騎士団は溜息をついた。手を伸ばし、菊の腕を取ると、引っ張って立ち上がらせる。
「こい」
騎士団総長がお前を呼んでいる。今度の作戦に参加させるつもりらしい。
淡々としたそれに、菊は目を瞠り、そしてにこりと笑った。新人がいきなりこうして参戦することは殆ど無い。 つまり、必要戦力と認められた事になる。ドイツ騎士団の為に働けるのだ。
「はいっ」
嬉しそうに頷く菊に、ドイツ騎士団は苦々しく唇を引き締める。 上司の意見は絶対だ。そこに象徴である自分自身の意志は挟めない。
取った小さな手には、あの頃あった幼子特有の柔らかさが薄れ、 武器を持つ癖に倣い、ややいびつに硬いタコが盛り上がっていた。 握り締めた手の平に感じたそれが、胸の奥に軋みを与える。
確信している。こいつの優しさは、必ず戦場で自分を傷つけると。
「ドイツ騎士団」
呼ばれ、振り仰ぐと、黒い瞳を柔らかく細めた笑顔。
「菊は、がんばりますね」
繋いだ手に、きゅ、と力が込められる。そのささやかさに、何故だろう、ドイツ騎士団は無性に泣きたくなった。

















「で、こちらへは、どれぐらいの滞在の御予定ですか?」
「そんなに長くはいらんねえな」
名分としては、誘致された軍事顧問に同行しただけだ。 流石に憲法の為に訪普した日本のようには、長期滞在は出来ない。 ドイツの成長が著しいとは言え、彼にはまだ補佐が必要だ。 指導に当たる陸軍の現状を確認して、派遣した専門家の様子と頃合いを見て、早めに帰国する予定である。
「そうですか」
「って訳で、おまえん家に泊めろよ」
あっさりと言い放った言葉に、思わず顔を上げる。
「あ、いえ。要人用にホテルを御用意致しますので、どうぞそちらにお泊り下さい」
日本でも海外からの来客は、数年前と比べて格段に増えてきた。 勿論国としての外交的な要人の来日も多く、外国人用の高級ホテルも新築されている。 諸外国に恥ずかしくないだけの設備と、きちんと教育されたホテルマンが揃っており、 海外のマナーも料理もサービスもつつがなく提供が可能な筈だ。
しかし、プロイセンは不満げに唇を曲げた。
「お前が俺んとこに来ていた時は、俺様の家を提供してやっただろうが」
それと同じだろ。今度はお前の家を、俺様に提供しろよ。
「しかし…」
彼らの文化と、こちらの文化にはかなりの隔たりがある。 現在日本が住む家は、昔ながらの邸宅だ。 西洋人から見れば天井は低く、洋食器も無く、シャワーも無く、西洋風の椅子やテーブルさえ無い。 こちらにとっての日常の家屋が、彼らに寛ぎを提供できる宿になるとは限らない。
「良いから、泊めろ」
むに、と彼はこちらの鼻先を摘む。息が出来ない。
困ったように眉尻を下げると、プロイセンはケセセと声を上げて笑った。








所謂、傭兵。本来はもっと入団規制があったみたいです
2011.06.15







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