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第七番目の芸術

観劇に行ってきました、作・演出三谷幸喜の「国民の映画」です。
三年間に初演を上演し、その年の演劇賞を総なめにした作品の再演になります。

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豪華な役者人、特に男性陣は非常に渋好みのメンバーが揃っており、
正直彼らを見るだけでも充分に価値のある舞台であると言えます。
勿論内容も、それぞれ個性的な登場人物、はっきりしたテーマ等、
流石は名前だけで集客の望める日本屈指の脚本家、誰もが認める良作です。
ただ、単純に「物語」として見ると、正直自分の好みではないかな?
後半に明かされる「真実」も比較的予想の範疇で、
結局何も解決されていなくて、最後に残るもやっと感が苦手なんでしょうね。
これはホント好みの問題。作品として素晴らしい事に、全く異論はありません。
そして、この舞台を観ることが出来て良かったとも思っております。

今回の作品、初演当時は丁度震災の真っ只中だったようですが、
見る人にとっていろんな物議を醸し出したのではないでしょうか。
劇中、「芸術を愛してはいけないのか?」との質問の答えが、
咄嗟に頭に浮かんだ自分の意見と一言一句違わなかったことに何気にびっくり。
最初から最後まで舞台中央で静かに燃える暖炉の炎は、
もしかすると何かの象徴だったのでしょうか。

去年の「ホロヴィッツとの対話」を見た時にも強く感じましたが、
三谷氏の作品は初期の劇団の頃に比べると随分変わっておりますね。
独特の小技が利いた、微妙にマニアックな笑いが特徴的だったのですが、
近年の作品はマイルドで正統派路線に移行しつつあるように思います。
個人的には彼にしかできない笑いが好きなので、少々寂しくも感じますが、
それでも舞台としての完成度は相変わらずとても高いので、
今後も気になる作品にはどしどし足を運ぶつもりでおります。

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