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みかけは怖いが

会期終了が迫っていたので、慌てて美術館へ行ってきました。
「歌川国芳展 ―奇才絵師の魔力」です。今回は甥っ子君も同伴。

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いやあ、作品数も多く、かなり見応えがあり、すごく楽しかった。
浮世絵らしい繊細さと鮮やかな色彩は勿論、ユーモアもあり、
一部の作品では現代のジャンプ漫画に通じる構図さえ感じましたよ。

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そして、御大が猫派だというのは伝わった。ものすごく。

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甥っ子君も楽しかったようで、時間をかけてじっくり見てたな。
ショップで何か欲しいものがあるかを尋ねると、図録を即指名したよ。

わんこさんが来てから、美術館や舞台等を観に行く機会は減りましたが、
久し振りに行くとやっぱり面白いし、いろいろ刺激を貰えます。
様子を見ながら、感性と心の栄養補充として、また足を運びたいですね。

感情闇鍋大団円

「ゴールデンカムイ」、全巻読了。いやー、面白かったです。
焦って勢いのままにがーっと一気に流し読みしないように、
毎日ちょっとずつ読み進めて、漸く最終回まで辿り着いたよ。

全三十一巻という長さ然り、物語の重圧っぷりや、魅力的なキャラクター、
知識欲を満たす内容や興味深い考証、後半の怒涛のような展開や疾走感、
エンディングの満足度等々、非常に読み応えがありました。素晴らしい。
ストーリーも丁寧に練られていて、無駄に見えて、でも実は無駄じゃなく、
登場人物の背景や見せ場がちゃんと用意されているのが凄い。
繁忙に入れ替わるパーティーシャッフルの手法も、非常に興味深いです。

因みに、推しや萌え諸々を取っぱらかって断トツで好きになったのは、
ぶっちぎりでフチとリュウ。おばあちゃんとわんこ。聖域。守らねば枠。
次点で、チンポ先生。初登場時は引いたけど、安心感はピカイチ。
あと、もすパパ&哀しきモンスターも、登場するだけでにこにこしちゃう。
そして、土方さんはズルい。存在が反則。(二回目)あかんて。

久し振りにコミックスを大人買いしましたが、楽しかった。
満たされました。良い作品に出会えたことを感謝します。
あれだな、コロナ感染も悪いだけじゃなかったな。

誰が彼を殺した

リアルで周りに舞台好きが少ないので、ここで叫びます。

結構昔ですが、すごく気に入っていたにも拘らず、
気が付けば見失ってしまった動画があったのですが、
再発見できた喜びに打ち震えております……っ。

内容は、海外上演であろう、ロックミュージカルの金字塔、
「ジーザス・クライスト・スーパースター」の舞台の内、
ラストのナンバーです。例のテーマソングのね。

何が良いって、このユダが、兎に角ものすごくカッコいい。
真っ赤なスーツ&翼にボルサリーノ帽というセンスがカッコイイ。
ダンスの小粋なステップがいちいちカッコいい。
ボルサリーノ帽を使った振り付けがカッコいい。
このナンバー特有のシャウトがカッコいい。
投げキッスの演出が素敵過ぎてカッコいい。
もうマジでリピートが止まらん。永遠に見ていられる。好き。

因みに、この直前のユダの最期のシーンはかなり衝撃的。
初見でかなりビビりました。こんなのもアリなのかと驚き。
この演目は、演出によって印象がかなり変わるのが興味深い。
熱海然り、こういう脚本は本当に面白いです。

ユダは全編を通じてシャウトが肝だと思っておりまして、
歌唱力は勿論ですが、このシャウトが自分の好みかどうかが、
それ以外の良し悪しより、左右されるポイントになります。
あとは、ヘロデ王のナンバー。ある意味、この曲こそが、
作品全体の「色」を決める、演出家の腕の見せ所になりそう。
尚、ヘロデ王に関しては、個人的には映画版が不動の至高。
登場のインパクトといい、はみ出る横っ腹の肉といい、
何処までも相手を小馬鹿にしたキッチュなダンスといい、
あれを超えるヘロデ王はそう出てこないんじゃないかな。

全曲英語での舞台、見に行きたいなあ。
四季はちょっと自分の好みではなかったんだよなあ。

スーパーな兄弟

ホント何年ぶりだろう、久しぶりに映画を見てきました。
昨今人気の「スーパーマリオブラザーズ ムービー」です。
正直、全く興味が無かったのですが、海外での大ヒットと、
評論家と観客の評価の落差のニュースに、興味を持ったのです。

マリオはオデッセイと、ヨッシー(?)をプレイした程度かな。
この手の技術が必要なアクションゲーは、かなり苦手な不器用者です。
オデッセイは甥っ子君と二人プレイで、なんとかクリアできたっけ。

さて、映画ですが、うん、こういうので良いんだよ!

本来のゲーム自体が至極シンプルなだけに、下手に凝ったり、
観客の意表を突く謎のサプライズとかは必要ありません。
ユアストーリー。お前のことだぞ。
ストーリーに厚みがないとかという批評は、多分ナンセンス。
誰が見ても判りやすい悪者と戦って、件のアクションがあって、
ゲームみを盛り込んで、ファンなら知っている小ネタがあって、
人のプレイを横から覗き込むような楽しさがあって、それで正解。
任天堂さんは、ちゃんとその辺りを解っていらっしゃる。流石やね。

しかしクッパは悪者だけど、純で、一途で、愛すべきキャラですね。
「幸せになりたかったのに」の叫びは、妙に刺さってしまったよ。
観終わって、何か新しくマリオのゲームをプレイしたくなりました。
これこそが任天堂の作戦なんだろうな。まさに、タナゴコロの孫悟空。

ひかりとかみと

わんこさんが合宿の間に……と久々にアート展覧会へ。
高島屋で開催されていた「かみがみの森」です。
「かみがみ」は、所謂「紙々」です。切り絵アート。
展示物は写真撮影可。最近はSNS用に、多くなりましたね。

瓶詰の本の森は、とても奥行きがあります。

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照明の色の変化で、雰囲気が変わる。

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近くで見ると、ひぇっ、て思う程に、繊細で緻密。

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近付いて、じーっといつまでも眺めていられそう。

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床の鏡に反射された照明も含め、ひとつの作品。

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この照明具合や、緞帳のような紙の重なり具合に、
「あれ、これって舞台美術に通じるんじゃね?」と思いました。
舞台演出によっては、雰囲気も相まって、すごく嵌りそうです。

繊細で、透明感と奥行きに、ひと匙のグロテスクさもあって、
とても楽しく閲覧させて頂きました。デパート展覧会、侮れないな。
てか、是非一度、舞台美術を手掛けて頂きたいですね。見たいぞ。

現代歌舞伎版の

泣いた……歌舞伎、野田版・桜の森の満開の下、良かったよ……。
これは劇場に行かなかった自分に、愛と涙の全力グーパンだよな。

すいません、相変わらずこの舞台に関しては、語りたくなります。

内容といい、時代背景といい、幽玄な雰囲気といい、衣装といい、
歌舞伎との相性が抜群であろうことは重々承知しておりましたが、
いやあ、遊眠社時代を彷彿とさせる、本当に素晴らしい舞台でした。
元祖をきちんと踏まえた上での進化は、流石は歌舞伎舞台。
この手の引継ぎを繰り返し続けていた、伝統芸能のお家芸ですね。

キャストに関しては、流石に伝統芸能を極めた歌舞伎役者陣、
私如きが口出しする方が野暮なレベルの、抜群な安心の安定感。
特に、勘九郎丈の耳男は、野田耳男のDNAを正当に引き継ぎつつ、
「らしさ」もしっかり出されたはまり役だったのではないでしょうか。
個人的には、野田耳男と並ぶレベルで好きかもしれません。

七之助丈の夜長姫は、正直、登場シーンでは「?」と思いましたが、
物語が進むにつれて違和感が薄れて、馴染んでいきました。
夜長姫は二つの声音を使いますが、特に鬼の声は非常に素晴らしく、
この低いのに「女性の声」と思わせる力量は、流石は女形役者さん。
ただ、「鈴が鳴るような無邪気な笑い声」は、ちょっと難しかったかな。
何処までも無垢で無邪気な永遠の女の子……とはやや趣が異なりますが、
それでも品があり、如何にも姫らしく、且つ醸し出される妖艶さがあり、
これはこれで、歌舞伎の夜長姫としての見応えがありました。

オオアマの幸四郎丈は、ある意味納得のキャスティングでしたね。
ザ・王子様だった天海さんとは異なり、腹黒さが垣間見える正統派権力者。
小綺麗な中にも小賢しさが漂い、朧の森然り、研辰の討たれ然り、
染五郎時代からこういう役どころがホント似合うなあ。<誉め言葉
太々しさ漂う猿弥マナコは、ある意味一番イメージに近い気がします。

古典芸能の役者だけあり、きちんとした土台のある動きは見事で、
所作も美しく、たおやかで、見せ場はきちんとクローズアップされ、
夜長姫の倒れるシーンや、立ち回りなどは「凄い……」と声が漏れました。
三名人がノミを振るうシーンと、特にラストのクライマックスシーンは、
元より古典芸能を意識していただけに、寧ろ彼らの土壇場でしょうね。
ビジュアルの美しさと考えると、ある意味こちらが上かもしれません。
この歌舞伎の「見せ方」の熟知された感は、もう流石としか言えないな。

尚、嬉しかったのが「私のお父さま」と「SUO GAN」の採用。
オペラと外国の子守歌が流れる異色の歌舞伎ですが、
この舞台において、この選曲は本当に神懸っていると思います。

野田舞台は、ある意味歌舞伎とは真逆に、過剰なまでの動きが特徴ですが、
それを歌舞伎舞台で見ることが出来たのは、非常に面白かったです。
案外この歌舞伎版が、一番万人受けが良く、判りやすいのかもしれません。

ぐっとシンプルになった「NODA MAP」での再演と違い、
この歌舞伎ならではの贅沢な豪華絢爛さも、残してほしい魅力があります。
人気のある舞台だし、歌舞伎演目としても申し分ない作品なので、
是非とも、是非とも!! 勘九郎耳男で再演して欲しい所存でございます。

現存するなんて

奈良の春日大社にある国宝殿へと行って参りました。
「最古の日本刀の世界・安綱・古伯耆展 童子切」展示です。
開催当時から、ずっと気になっていたのですよ、これ。
人気ジャンルの影響もあってか、人が多いようだったので、
タイミングを見計らっていたのですが、某ウィルスの影響か、
観光地も閑散として、じっくり拝見することが出来ました。

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奈良の、ナチュラルに鹿がそこにいる事実が、堪らなく愛おしい。

童子切、ジャンルに関しては全くのノータッチなのですが、
実は普日の長編「黒鷲~」の中で、騎士団菊さんが持っている刀が、
童子切のプロトタイプ、若しくは同じ刀鍛冶の銘柄という裏設定。
単純に、時代的に一番不自然ないかな? との理由ですが。
安綱、でしたっけ? すいません、詳しく解っておりません。

一振り、やけに目を引いた刀があったよな。童子切じゃない刀でしたが。
刀や包丁、ハサミに限らず、刃物ってじっと見るのは怖いのですが、
それでも刀に魅入られてしまうという感覚は、なんとなく理解できます。

失くした片割れ

舞台観劇、「ヘドウィグ&アングリーインチ」今回は浦井健治氏ver.です。
なんだかんだと、ヘドウィグはかなりリピート観劇しておりますね。
良し悪しは関係なく、一回の観劇で充分満足する舞台もありますが、
ヘドウィグに関しては何度見ても飽きません。多分、今後も観に行くな。
同じようにリピートを繰り返すヘドウィグファン、結構多いと思います。

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出演者の過激且つ攻めたルックスが注目されるこちらの作品、
一言で言うと「痛く切ない愛の物語」です。失くした1/2的な感じの。

今回の出演者に関しては、前知識全くなしで足を運びましたが、
浦井氏は声量も歌唱力もしっかりしてて、声も良く、充分満足できました。
そしてイクァツは中性的で、長身で、男声での歌声が出せる方でして、
見ていると女性だよね? え、男性? と分からなくなる時もありました。
良いなあ。案外自分の中では一番イメージに近いイクァツかもしれません。
歌が今回は日本語訳されたものでしたが、違和感もなく、良かったです。
唯一気になったのは、役者の動きが乏しく感じるところかな?
恐らくこれは、役者ではなく、演出家の問題でしょうね。
後、今回取れたのが二階席……この舞台に関しては一階席じゃないとなー。
一階席の皆さんは初っ端から総立ちに盛り上がっておりましたが、
二階席ではどうしてもその熱気がやや遠くなっちゃうんですよねー、残念。
ライブ感が感じられる、やや小さめの小屋で上演して欲しい舞台です。

しかし改めて考えると、このヘドウィグ役、かなり大変なんですよね。
ずっと舞台に出ずっぱり、台詞は殆ど彼一人、演技だけでなく歌もあり、
しかも歌唱力ではない、痛々しいまでの心の叫び的ロック魂が必須。
後、個人的に細身ではなく、ある程度ガタイがしっかりしている人希望。
ラストで服を脱いだ時、ギャップを感じる体格が欲しいと思っております。

当日券が残っていたようですが、正直、空席が勿体ない良い舞台でした。
今回姉と一緒でしたが、帰りの電車内でDVDをアマゾっておりましたよ。
ロッキーホラーショー並みに、今後もずっと残る舞台かと思われます。

前売り購入済み

甥っ子君と夏の映画鑑賞に行って参りました。
賛否両論溢れる「ドラゴンクエスト ユアストーリー」です。

皆大好きⅤをベースにした親子三代にわたる物語なので、
流石に今回の尺では絶対的に無理がありますよね。
時間制限故の端折りに関してはまあ仕方ないし、
物語の進行に関しても、これが限界だったのでしょう。
基本、「ドラクエ5を知る人」前提で作られているのでしょうね。
主人公の性格がやや軽く感じることはありましたが、
CGは綺麗だし、アクションも見応えがあるし、声優陣も豪華だし、
キラーパンサーの名前等、ファンならではの遊び心もあり、
お気に入りのモンスターが出現するのも楽しかったです。
後半に差し掛かるまでは、往年のドラクエファンにも、
それなりに一定の評価を得られたのではないでしょうか。

ただ、ラスト近くの「アレ」は反則じゃないのか?!

特にドラクエに思い入れのある方には、絶対に許せない方もいるだろうな。
個人的には……上映中はぽかん顔で絶句してしまいましたが、
それが端からの映画の方向性であるならば、それ以上は何も言うまい。
正直、鳥山絵でない時点で最初からあまり期待値を上げておらず、
スライムが可愛かったのと、想像通りのキラーマシンの動きだけで満足。

それにしても、今回映像を見ていて初めて気が付きましたが、
何故か自分の中でのゲマの声は、フリーザ様の声だった模様。
尚、吉田氏の白熱の演技に不満は全くありません。めっさ嵌ってました。

正月は映画鑑賞

久し振りに映画を見ました。「超高速! 参勤交代」です。
某動画サイトの期間限定無料視聴でしたけどね。

惑星ピスタチオ時代から蔵之介さんのファンですが、
改めて、やっぱカッコいいですねー。良い役者さんだなあ。
思った以上に立ち回りも綺麗で、品がありました。
てか、この映画、色々と役者陣が面白い。
役者をしている方が好感度の高い上地氏とか、
口を開く度に妙に期待してしまう西村氏とか、
ザ・嫌な悪役を存分に堪能できる陣内氏とか、
田舎者ながら頼れる側近武士メンバーズとか。
コメディながらもちゃんと見応えのある殺陣も織り込まれ、
時代劇らしいお約束展開もあり、とても楽しかったです。

だらだらとおせちを食べながら映画を見る……そんな至福のお正月。

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