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維新派最終公演

観劇メモ、維新派最終公演「アマハラ」を観ました。

まず最初に。今回の公演を手掛けた劇団員の皆様には、お疲れさまと言いたい。
主宰の松本雄吉氏が急逝された中、構想ノートのみで舞台を作り上げたのは、
その勇気も含め、本っ当に並大抵のことではなかったかと思われます。
こうして一つの終わりの形として最後の舞台を作り上げて下さったことは、
維新はファンとして本当に嬉しかった。そう思っている人は多いと思います。

さて。今回の「アマハラ」は、20世紀アジア三部作として以前犬島で公演された
「台湾の、灰色の牛が背のびをしたとき」を再構築した作品でした。
船の舳先のような形状の舞台は、野外劇だけあり、時々向こうを車が通ります。
中盤は変わっていたのかな? 後半は割と振り付け等も含め、同じような感じ?
前回も思いましたが、後半からクライマックスまでの盛り上がりが素晴らしく、
特にラスト近くの舞台の背景を含めた美しさには、思わず息を飲む程でした。
そしてエピローグ辺りの台詞は、故松本氏への呼びかけのようにも思えて、
うるっときました。維新派で涙が出そうになったのは初めてかも。

ただやっぱり、ホントに当り前なのですが、「なにかが違う」のですよ。
最初からそれは感じていて、ずっとなんだろう……と思っていたのですが、
あれかな、松本氏の演出のあちこちに散らばる、独特の「カオス」感なのかな。
動きとか、舞台美術とか、台詞とか……感覚的なものなのでうまく言えませんが、
今回の舞台はどこか整っていて、無難なのかな。逆に言えば観やすいのかも。
あの「なんで? どうして? どこからそんなことを考えたの?」と思うような、
唯一無二の世界観は、故松本氏でなければ作れないものなんだろうな。

ファイル 2091-1.jpg

今回上演した奈良平城宮跡は、生前故松本氏がずっと上演したかった場所で、
なかなか許可が下りず、今回アートイベントの誘致として漸く果たされたのですが、
残念ながら公演を前に急逝してしまったという、そんな流れがありました。
なので、「MAREBITO」が犬島を、「透視図」が大阪をオマージュしたように、
奈良か平城宮跡をオマージュした作品を観たかったという一ファンの心の呟き。
観ていないので分かりませんが、昨年の「トワイライト」がそれに当たるとか? 
実質それが、氏の遺作? 観に行けなかったのが、つくづく悔やまれます。

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