9月のお題「お茶漬け」「クッキー」「コーヒー」
「お茶漬け」より小噺。
ジャンル違い要注意。
以下、楊太です。
出されたお茶漬けを口にして、思わず眉をしかめた。
つんと鼻を通り抜ける独特の香りに、恨みがましく視線を向ける。
しかしこの男は判ってやっているのだろう、
寧ろにこにこと爽やかな笑顔をこちらへ向けるだけ。
「おぬし…怒っていないと言ったではないか」
「ええ、怒っていませんよ」
どの口がそれを言うか?
見た目はいつもと変わらぬ癖に、
つんと鼻を通る辛味が見え隠れしている。
むすっと顔をしかめたまま、わさびの香りのそれを、
半ばやけくそのように、その夜食をかき込んだ。
今日は早く帰るって言ったじゃないですかっ!