12月のお題「シチュー」「ドーナツ」「ワイン」
「ワイン」より小噺。
ジャンル違い要注意。
以下、封神・楊太です。
最後のお客様を笑顔で見送って。
扉に下げていたプレートをくるりと返してクローズを示し。
ふうと息をついて、ネクタイを緩めた。
「お客様、帰られましたよ」
「おう、ご苦労さま」
厨房に入ると、既に殆どの片付けを終えていた。
残っているのはチーフが一人。
後は全員自分の持ち場を終えた者から帰らせた。
「長い客だったのう」
「なかなか込み入ったプロポーズのようでしたから」
「ほう。で、結果は」
「笑顔でお帰りになりました」
「それは良かった」
そのお陰で、こんな時間まで、店を開ける羽目になったがのう。
小さな予約限定のレストラン。
クラシックな柱時計は、間もなく日付を変えそうだ。
「今年はここで年越しですね」
「ま、そんな年も、たまには良かろう」
ほらと差し出されたのは、白ワインが注がれたグラス。
受け取ると、同じくグラスを掲げる彼に、くすりと笑みが零れる。
お疲れさま、今年もお世話になりました、来年もよろしく。
お決まりの台詞を告げ合うと、二人で肩を竦めてグラスを重ねる。
かちんと透き通った音に、遠くで除夜の鐘も重なった。
一年があまりに早過ぎて、呆然としております。
今年も相変わらずいろいろ外したサイトではありましたが、
来年もこんな調子で運営する予定で御座います。
皆様、良いお年を。