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空港に隣接した

甥っ子君との思い出作り&夏の18きっぷ旅行

寺山修司記念館は、市民の森公園という広い自然公園内にあります。
スポーツ施設やキャンプ場もありまして、館を出て、てくてく歩いていたら、
小田内沼の脇でキャンプをしている人もいらっしゃいました。
夕暮れ空を見ながら歩いて30分くらい? で、市民の森の保養所に到着。
夕食は、そこの食堂「おおせっか」にて、パイカの蒲焼丼を食べました。

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パイカとは豚の軟骨で、三沢の御当地グルメだそうです。
同じく土地の名産らしいごぼうも入っておりまして、
どちらもとっても美味しくて、むしゃむしゃ食べちゃいました。

般若心経ロック

甥っ子君との思い出作り&夏の18きっぷ旅行

ぼくは不完全な死体として生まれ
何十年かかゝって完全な死体となるのである
(「懐かしのわが家」の一節、この詩が氏の遺作だそうです)



念願の寺山修司記念館に行ったのは良かったのですが、
今回の最大の失敗は「朝、のんびりホテルを出た」ことに尽きます。
いや、どうせこの日は博物館以外には行けそうもないし、
そんなに閲覧に時間が掛かる規模でも無いよねーと思ったんだよ。
でも、迂闊だった。マジ、その可能性を失念してました。
そうだよ、記念館と言う事は、氏の作品が置いてあるんだよ。

ええ、入り口で申請すれば、一部作品のDVDを見る事が可能なんですよ。

貴重な舞台映像や、テレビの放送された特集番組など、
入門者からディープなファンまで堪能できるラインナップを見た瞬間、
それを知っていたら弁当持参の朝一で入館していたのに! と心の中で絶叫。
散々悩んだ挙句、蜷川版を見て感動し、予てより是非見たいと思っていた、
寺山修司演出&若松武主演の「身毒丸」をチョイスしました。
思えば、最初に触れた寺山作品がこれなんですよね。マイ寺山原点。

寺山版と蜷川版、大きく違うのはやっぱり音楽でしょうか。
舞台の煽りにもあった「見世物オペラ」の名の通り、
J・A・シーザー氏の歌が実に贅沢に全面に使用されております。
最も、蜷川版も、曲調が変わるだけで歌詞の変化は殆どありません。
よりアングラなのがオリジナル、やや窓口を広くした大衆向けが蜷川版。
細かい違いは多々ありますが、一番気になったのは蜷川版の方が、
撫子と身毒丸が早い時期から互いを異性として見ている所でしょうか。
蜷川版は身毒丸が撫子に一目ぼれした瞬間に継母となり、
その悲劇が二人の関係を歪ませた……てな流れでしたが、
寺山版は、基本は継子と継母の禁断の関係で話が進んでおりましたね。
あと、母の呼称が蜷川版は「母さん」なのですが、
寺山版では「おっかさん」なんですね。なんか寺山氏らしいな。

しっかしシーザー氏も只者じゃないな、上演した年代を考慮しても、
音楽に全く古さを感じないんですよね、ラップ調まであったりするぞ。
特に最初の「慈悲心鳥」かな? は凄い迫力&カッコ良くて鳥肌が立ちます。
「藁人形の呪い」は、舞台の見せ方的な意味で、蜷川版の方が好みかな。
氏はアニメ「少女革命ウテナ」の音楽をされていたそうですね。
アニメは観た事ありませんが、また思いきったプロデュースをしたな。

頭上には戦闘機

甥っ子君との思い出作り&夏の18きっぷ旅行

涙は人間の作ることができる一番小さな海です。
(寺山修司戯曲「人魚姫」らしいけど、「大山デブコの犯罪」のPVから引用)



寺山記念館には、氏の遺品や、作品のポスター等と共に、
生前関わりの深かった方々のインタビュー等も聞く事が出来ます。
面白いのがこちらの展示方法。展示室には11の机が並べられており、
卓上に置かれている懐中電灯で引き出しの中を照らし、
そこに収められた展示物見るという、変わった仕組みになっております。
なんというか、もうそこらへんからして、実に寺山ワールドですな。

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そして、記念館の裏には、短歌の記された道標が続いており、
それに沿って森の中を抜けると、文学碑に突き当たります。
こちらに刻まれた短歌は、谷川俊太郎氏が選んだものだそうです。
小田内沼を見下ろす素晴らしいビューポイントとなっておりますので、
訪れた方はこちらもお忘れなきよう、是非足をお運びくださいませ。

とびらがわらう

甥っ子君との思い出作り&夏の18きっぷ旅行

その晩遅くなってから我が家に火事があり、近所の家まで焼けてしまった。
警察では漏電だと言ったが嘘だった。
ほんとはおれが机の引き出しにかくしておいた一匹の蛍が原因だったのだ。
(寺山修司記念館パンフレットより引用、「田園に死す」の台詞だっけ)

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折角なので、御存知の方には今更過ぎる、寺山修司氏のご紹介を。
寺山修司氏とは……まあぶっちゃけて言ってしまえば、
マザコンと田舎者コンプレックスを拗らせちゃったナル入った人が、
多分野に渡ってカルトでカオスでアングラなマイワールドを繰り広げ、
自分自身も演出しつつ、うっかり羽目を外しつつ、闘病の末に夭折した、
「職業は寺山修司です」と自称する、時代が生んだ多才な寵児です。
多分、間違っていないと思う。うん。

人に寄っては不気味&特殊過ぎて全く理解できないでしょうが、
嵌る人には人生観が変わる程に強烈な作品を多数残されております。
自分としては……うーん、作品によりけりですな。
「田園に死す(映画)」のオープニングには衝撃を受けましたが、
「書を捨てよ町へ出よう(映画)」は生理的に全く受け付けませんでした。
興味のある方は、氏の妖しい世界観が詰め込まれた「草迷宮(映画)」や、
ややマイルドな蜷川版の「身毒丸(舞台)」から入るのがお勧めかと。

自分の中では映像&舞台の演出家のイメージが最も強く、
実は著作は選集本一冊しか読んでおりません。
どうも氏は、確信犯的に自分を演出する節が見受けられて、
特にエッセイに関しては、何処までが本当で何処までが虚構か、
変に穿った読み方をしてしまうんだよなあ。嫌な読者です。

前衛世界の教祖

甥っ子君との思い出作り&夏の18きっぷ旅行

ご飯を食べた後は、駅から出発する無料バスに乗りました。
女の子一人と、三人の家族連れとで、乗り込んだのは三組のみ。
(てか、正直、三組もいた事に驚きました)
バスは、空港や科学館等にも停車しつつ、大体30分弱かかったかな?
そうして漸く到着いたしましたよ、「寺山修司記念館」に。

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建物からしてザ・テラヤマワールド。入り口からしてなんか違う。
上空から見ると、氏が作品に多用していた柱時計の形をしているそうです。

ふりむくな、ふりむくな、後ろには夢がない
(この名言は有名、寺山修司著の競馬評論か詩の一節だっけ? より引用)

スペシャル料理

甥っ子君との思い出作り&夏の18きっぷ旅行

午前中の殆どを使って、漸く青森県三沢駅に到着しました。やたー。
実はここが、今回の旅行の最大の目的の一つでもある場所。
知る人ぞ知る、「奇才・寺山修司生誕の地」なので御座います。

まずは昼食。駅前にある「きらく亭」にて天井桟敷ラーメンをいただきました。
前にもブログに書きましたが、今年は氏の没30年記念の年。
市内では只今特別企画として、複数の飲食店で「寺山食堂」と銘打ち、
生前の彼にまつわるメニューを提供中。これもその一つなのだ。

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このラーメン、使っているのは中華麺ではなく、なんと細パスタ。
寺山氏主宰の演劇実験室「天井桟敷」が欧州に遠征中、
劇団員がどうしてもラーメンが食べたくなり(その気持ち、判るなあ)、
中華麺が無かったのでパスタで代用したら意外に良かった……との逸話から。
正直、恐々口にしましたが、これ、普通に美味しかったです(笑)。
パスタってのは判るのですが、あんまり違和感感じずに食べられました。

三沢には米軍基地もあるんですね、食堂では制服姿の米軍さんと、
大阪から来たばかりらしい気さくな自衛隊さんが、一緒にお食事してました。
制服、カッコ良かったです。マジカッコ良かったです。

銀河鉄道みたい

甥っ子君との思い出作り&夏の18きっぷ旅行

さて出発……なのですが、この日の移動はJRではなく私鉄「青い森鉄道」を利用。
なんと盛岡~青森までのルートは、新幹線はあれど、JR通常沿線はありません。

今回自分も初めて知りましたが、青春18きっぷには一部例外区域があります。
JR普通沿線のみ全国利用可能なこの切符、切符自体にも記載がありますが、
実はこの盛岡~青森までの区間は、条件付きでこの私鉄青い森鉄道が利用可。
但しその条件と言うのが、指定されている駅での乗降のみ、18きっぷOK。
もし指定以外の駅に降りるようなら、通常の私鉄料金が必要になります。

JR普通沿線のみの利用なら、ぐるっと秋田周りをしなくてはいけないので、
この処置は良心的ですね。てか、JRが通ってないってのもどうなんだ?
そして残念ながら、なんと今回の目的の駅は指定外……しょぼん。
なので、駅で普通料金の切符を購入して乗車しました。

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そして何気に気になったのが、この青い森鉄道盛岡駅のホーム。
1番ではなく、0番からホームが始まる駅って、初めて見たかも。

ずっと揺られて

甥っ子君との思い出作り&夏の18きっぷ旅行

夕食後、電車に乗って、予定より二時間遅れで盛岡駅に到着。
本当はもう少し早めに到着して、界隈を巡りたかったんですけどね。
宿泊は、駅から歩いて五分ぐらいのホテルを予約しておりました。
結局この日は、まるっと移動のみに費やしたんだな。

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翌朝は、少しのんびり目に起きて、ホテルをチェックアウト。
駅にあったパン屋さんにて朝食をとったのですが、
モーニングのセットで卵が付いてきました。喫茶店みたいだな。
この日の予定をおさらいして、さあ出発なのだ。

タイミング良い

甥っ子君との思い出作り&夏の18きっぷ旅行

電車の延着で予約したホテルの駅に到着するのが遅くなったので、
駅の乗り換え待ち時間に駅にあったお店で夕食を食べました。
梅かつおおろしうどんです。名前からして味が想像できそうだぞ。
味は濃いめだけど、さっぱりしてて、期待に違わず美味しかったです。

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食事中、突然ものすごい集中豪雨が降って来ました。
丁度、東北地方に大雨の予報? 警報? が出ていたようですね。
幾度か家族から雨は大丈夫か? メールが来ていたので、
もしかするとよっぽど大変な状況だったのかもしれません。
幸い、雨は幾度か目にすれど、駅構内であったり、車中であったり、
駅から出る時には止んでいたりと、結局一度も傘は差さずに済みました。
相変わらず、微妙なお天気運を持っております。

さっき見たよね

甥っ子君との思い出作り&夏の18きっぷ旅行

電車に乗っていると、「あー、あの人も18きっぷなのかなー」と、
何となく察する時が結構あったりします。勘違いかもしれませんけどね。
大きな荷物を持っててずっと同じ電車に乗っていたりとか、
ネットの列車の乗り継ぎ案内のページを印刷した紙を持っていたりとか、
時刻表の本を丹念に眺めていたりとか……多分お仲間じゃないかなあ。

乗り継ぎ駅の一つで、黒人系の女の子を見掛けたんですよね。
編み込んだ髪の毛可愛いなあ、まだ学生っぽいよね、手足細長ーい、
こんな地方で一人で電車に乗ってるって事は日本に慣れてる人? 
……等と彼女の後ろを歩きながら、ぼんやり眺めておりました。
そこから更に幾つかの乗り継ぎを済ませ、日も暮れはじめたとある駅にて、
電車待ちのホームのベンチにその女の子が座っているのを発見。
こちらと目が合った途端、何故か「あっ」て表情をした所を見ると、
もしかすると何処かでこちらを目にして、憶えていたのかもな。

18きっぷで旅行をしていると、たまにこういうのがあったりします。
そういうのも、また面白かったりします。

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