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退廃的で耽美な

映画を観てきました、寺山修司監督の「上海異人娼館」です。
ミニシアターでの上映でしたが、予想以上に席が埋まっておりました。
男女年齢層問わず、芸大にいそうなタイプの人が多かったですね。

内容は、一言で表現すると「ポルノ」です。セックスシーンが露骨に出ます。
それもその筈、原作は過去何度も発禁に遭ったエロス文学「O嬢の物語」、
その舞台を上海の租界時代に移したものですが、
それに寺山氏独特の小技がスパイスのように隅々に散らされておりました。
こう、アスファルトの水溜まりに浮かぶ漏れたオイルの七色のマーブルが、
レンズ越しにフィルター掛かっているような、そんな映像。
ここで虹とかシャボン玉とかと表現しない辺り、どうぞお察し下さい。

面白いなと思ったのが、日本語、英語、中国語、フランス語、
四カ国語が入り乱れているにも拘らず、違和感が無いんですよね。
あの時代の中国は、案外そんな感じだったのかもな。
そして、チョークで描いた「四角」の抽象性。
「レミング」の舞台でもありましたが、これ良いなあ、面白いなあ。
寺山氏の熱烈なファンとは決して言えませんが、こんな所がツボにきます。
あと、SMは苦手ですが、意外に寺山氏の映像では大丈夫でした。
この見世物小屋系のインチキ臭さが、リアルさを感じさせないからかな。
ビジュアルは確かに綺麗なので、アート的な位置付けに感じるのかも。

フランスでは評価が高かったらしいですが(これホントに?)、
確かにフランス兄ちゃんなら、この愛とエロスを熱く語りそうですね。
ドイツさんも興味深く鑑賞しそう、ジャーマンズ真顔で。
それにしてもこのストーリー、オリジナル二次創作問わず、
18禁の同人ネタとして、ものっそい流用できそうだな。

ファイル 1216-1.jpg

今年は寺山氏の没三十年と言う事で、その企画の一つの上映。
各地でその関連企画や、公演も行われるようですね。
折角なので、この機会に彼のアングラ世界にどっぷり浸ってみよう。

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