少し前に観た、寺山修司映画「上海異人娼館」パロにチャレンジ。
ジャンル違い&ネタバレ要注意。
以下、APH、普日英です。
上海にある、とある娼館へやって来るアーサー卿と菊さん。
経営者の耀さんは、如何にも世間擦れしていない菊さんを預かる事に。
耀「ホントに、本人の意思あるか?」
ア「勿論。そうだろう、菊」
菊「はい……」
本編では、終始はっきりとその理由は明かされておりませんでしたね。
これは「愛の実験」とだけで、後は察しろという訳ですな。
娼館の一室を宛がわれる菊さん。殺風景でがらんどうの部屋の中、
その壁に菊さんはアーサーさんの写真を一枚貼ります。
もの寂しげに窓の外を見つめる菊さんを目にしたのが、
娼館の裏手に住む町の少年、ギルベルト。公国辺りと思って下さい。
役的にはフェリちゃんとかルートさんとか男台湾くんっぽいけど、でも師匠。
キャスティングにやや無理矢理感がありますが、そこは普日領所以のお約束。
毎晩男娼として客を取る菊さんの様子を、窓の外から伺うアーサー。
にこりともせずに男の相手をする菊さんを、恍惚とした表情で眺めます。
ピ「あいつは、快楽に身を落としているです。浅ましいですよ」
一緒に眺める愛人の言葉にも、うっとりと笑って首を振ります。
他の男と肉体関係を持っていても、二人の精神的な愛情は変わらず、
彼の自分への愛は絶対的なものだとの証明のための実験なのです。
耀「また、お前に花が届いているあるよ」
菊「(黙って花束を受け取る)」
耀「みすぼらしい花束あるね」
街の屋台で買ったような、素朴で飾り気のない花束。
大金持ちのアーサーならば、もっと豪華で高価そうな花束を贈ります。
差し出し人は判らないけど、受け取った花を部屋に飾る菊さん。
その内、殺風景な部屋にも、高価な調度品が並ぶようになっています。
でも、倒錯的な愛の実験は終わらず、さらにエスカレート。
敢えて動けないように鎖で縛りつけた菊さんの目の前で、
アーサーさんは愛人との性行為を見せつけたりもします。
これ、意味あるのか? やっぱりSMは良く解らんな。
そんな中、菊の娼館へ足を運ぶギル兄さん。
商品のように並ぶ娼婦に混じる菊さんの姿に、視線を引き寄せられますが。
耀「気に入った子はいたあるか?」
ギ「あいつ……あの、端の奴……」
耀「ああ、あの子あるね。お金はどれ位持っているあるか」
ギ「(ポケットから取り出すのは、小銭程度)」
耀「餓鬼が冷やかしに来るんじゃねえある。とっとと帰るよろしっ」
そんなはした金じゃ、大切な預かり物のあの子の相手はさせないあるよ。
娼館から放り出されるギル兄さん。
菊さんを買うには、相応の大金が必要なのだと悟ります。
ロ「政府の奴らなんかに、任せておけるかよ。ちきしょー」
ア「俺らでなんとせなあかんねん」
フ「でも、俺達でホントに出来るかなあ」
ギ「……俺がやるよ」
ロ「なんだ、突然。てめえ、今まで全然興味が無かったじゃねえか」
ギ「金になるんだろ……だったら、何だってしてやる」
世情は革命の気質が高まっておりまして、若い革命グループが、
大きなカジノを経営するアーサーさんに資金援助を求めます。
革命には興味ないけれど、ギャンブルの一つとして援助するアーサーさん。
だけど、結局革命は失敗。アーサーさんは革命グループに逆恨みを買います。
ギルベルトは負傷しますが、それでも大金を手に入れることが出来ました。
片腕を包帯で吊った身体で菊さんの元へ行き、男娼の菊さんを買います。
部屋は派手で豪華な調度品ばかりですが、
場違いなまでに質素な花が飾られているのに気が付くギルベルト。
そっと手を取った菊さんの指には、彼にはあまり似合わないゴツイ指輪が。
ギ「趣味悪ぃ指輪だな」
ギ「俺がもっと良いのを買ってやるよ」
指輪を外そうとするギルを、咄嗟にどんと押し遣る菊さん。
実はこの指輪は、アーサーさんが菊さんにプレゼントした唯一のもの。
まるで菊さんを決して離さない楔とか、枷とか、鎖とか、そんな象徴。
負傷した腕を庇って倒れるギルは、その痛みに唇を噛み締めます。
それに気が付き、慌ててその身体を起こそうと手を伸ばす菊さんに。
ギ「なんで、拒絶すんだよっ」
ギ「俺はお前を買ったのにっ」
無表情のままの菊さんに、違うと首を横に振り。
ギ「俺は……お前に喜んで欲しかったから……だから……」
花をいつも贈っていたのが、ギルベルトだったと悟る菊さん。
項垂れるギルベルトさんを、慰めるように抱き寄せ、ベットへ誘います。
キスをして、抱き合って、もつれ合って、体を入れ替えた時、
二人でベットから転がり落ちちゃいます。
ベットの下できょとんと目を合わせ、つい笑ってしまう菊さんに。
ギ「笑ったっ」
ギ「なあ、もっと見せてくれよ。お前の笑った顔」
頬を手で包み、嬉しそうに顔を寄せるギルと、くすくす笑う菊さん。
その様子を窓越しに見ているのはアーサーさん。
菊さんが彼に心を開いた事に気がつくと、途端嫉妬に狂い出します。
そして、財産を失ったアーサーさんは、町中でギルを見掛けます。
彼の後をこっそり追いかけ、彼が入ったのは革命グループのアジトの部屋。
懐から銃を取り出して、彼が入った部屋の扉をノックします。
ア「話がある。開けてくれ」
扉の向こう、人の気配が近付いて、そちらへ銃口を向けて、そして……。
寺山氏作品は所謂ビジュアル系なので、文章で表現するのは難しいなあ。
彼らしい表現が随所に見られる作品でして、独特な映像がとても綺麗です。
ちなみにこの映画上映企画のタイトルは、
「幻想と詩とエロチシズムの寺山修司◎映像詩展」というものでした。
この映画前売り券を某コンビニにて購入の際、手続き方法が判らず、
レジの高校生ぐらいの若い女の子に手伝って貰ったのですが、
このタイトルはあんまり若い娘さんには見せたくなかったぜ……。