記事一覧

世界はまぶしい

pixivにて一部公開したオフ本「きらきらまぶしい」関連の小ネタ。
ジャンル違い要注意。
以下、ヘタリア、ギル菊です。



保護者向けに配られたプリントには、登下校の注意書きがされていた。
登下校の職員見回りと諸注意が記載されたそれを、
ギルベルトは几帳面に折り畳み、鞄の中に押し込んだ。

いち早く教室から出ると、階段を駆け足で下りた。
校門を出ようとした所で、見回りの職員から声が掛かった。
一人で帰るのか、友達と一緒に帰りなさい。
厳しい顔でそう言われ、いつも一緒に帰る奴が休んでんだよ、
しかめっ面でそう言うと、そのまま駆け出した。
背中から、寄り道しないようにとの声が掛けられたが、
心の中で、バーカ、と応えてやった。

来週には、校門が改装される。
通学路に、使っちゃいけない道が出来た。
理科の時間に植えた花が、漸く咲いた。
ショクインカイギとやらで、早く帰る日が多くなった。
寄り道をして帰らないようにと、終礼で何度も言われた。

なあ、菊。
子犬が産まれたんだぜ、ほら、いつも学校帰りに通っていた角の家の。
白くて、ふさふさで、お前いっつも給食に残したパンをあげてただろ。
でもあそこの道も、もう使っちゃいけないってさ。

夕焼け前の空の色。
放課後の影法師の長さ。
校舎裏の花壇の花の形。

色んなものが、目に見えて変わってゆく。
毎日、何かが変化していく。
それを俺はしっかり覚えなくちゃいけない。
変わった何かを、一つずつあいつに教える為に。

「お、みっけ」

ひょろりと伸びたそれに指を掛け、ぷちん、と丁寧に摘む。
漸く見つけたぜ、へへ、と笑うと立ち上がり、
ギルベルトは手に握ったよつばのクローバーを夕日に透かせた。



ホントの走り書き。ちゃんと書き直そうとして、そのまま放置。
本文には全く記載しませんでしたが、
菊ちゃんは変質者に襲われそうになって事故に遭った……との裏設定。

コメント一覧