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大和の国の底力

正倉院展に行く前に、奈良の県立美術館にも足を運んでおりました。
こちらで只今開催されているのは、「薮内佐斗司展 やまとぢから」。
なんとこの方、あのせんとくんの生みの親なのです。

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恥ずかしながら薮内氏はせんとくんで始めて知りまして、最初に見た時は、
ゆるキャラ全盛期の波に敢えて逆らった独自性とその強烈なインパクトに、
「え、ええー……?」と思った一人です。だって、kawaiiじゃないよ、これ……。
でも展示物を見て、あれが作者の通常運転(しかもややソフト)だったのかと納得。
ユーモラスで、シュールで、怖いものも、吹き出すようなものもあるのですが、
見ている内になんだかもう何でも許せちゃいそうな気になってくる、そんな不思議。

人から人へ受け継がれてきた文化財を「伝世古」、
対して土の中に埋もれて忘れ去られた文化財を「土中古」と言うそうです。
その説明書がされた展示パネルを読んで「成程……」と感心する自分の隣、
初老の男性が「伝世古か……」と呟き、取り出した手帳にメモっておられました。
東京芸大の教授でもある氏は、古い仏像などの修復作業を学生にさせて、
その技術を習い、学ばせ、後世に引き継がせる取り組みをしているそうです。
つまりはそれも、一種の「伝世古」なんですよね。大切な事だよな。

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