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只今桜の森ロス

「ここであなたも耳を二つ失ったのだもの」
「わたくしも、妹とお父様をなくすだけのことよ」
<「贋作・桜の森の満開の下」の台詞より引用



劇場に展示されていた、舞台一幕目のセットの模型。こちらは中休憩ver.

ファイル 2576-1.jpg


引き続き、「贋作 桜の森の満開の下」話を。まだ語り足りねえ。

オオアマ、夜長姫、耳男、マナコが中心の本作品。
ポスターでは、夜長姫が「鬼」であるかのように表現されております。
でも自分の中では、ビデオの若松氏の迫力も担ってか、
一番「鬼」に近いのはオオアマだなと思っておりました。
でも今回の舞台を観ていると、やっぱり全員が「鬼」にも思えてきました。

オオアマ→クニ造りに憑りつかれたオニ
夜長姫→オニと思われがちだけど、オニを見ることが出来るヒト
耳男→呪いでオニを生み出した人、芸術のオニ
マナコ→乱暴で人殺しの山賊、世間的に一番典型的なオニ

今回の天海オオアマを見ていると、一国の王たる者としては、
「オニ」になることも、また必要であるのかもしれないかなと。
天海さんは宝塚退団後、初の男役だったのでしょうか?
今回は、余り男役を意識せずに演じているようにも思えました。

毬谷夜長姫はナチュラルに鬼を引き連れていたのですが、
深津夜長姫はちょっと違っていて、奔放さも薄まっていたかな。
人首のおもちゃも無くなったしね。だから「鬼」要素が低くも感じます。
どうしても自分の中での理想の少女像「毬谷夜長姫」と比較しがちですが、
決して深津夜長姫が劣るという訳ではありません。これが役者の個性。

妻夫木耳男は、改めて考えると、ちょっと現代っ子っぽいのかもな。
登場人物の中では一番「普通」に近い配役なので、強烈な個性が無く、
その癖マナコやオオアマと対比される面も多いので、意外に難しい役かも。
ひとつ挙げるなら、「無自覚に流されやすい」というキャラクターを
もちっと醸し出してほしかったかな……って、偉そうな事を言ってみる。

終演後、展示されていた模型は二幕目のセットに変わっておりました。

ファイル 2576-2.jpg


実は当日券に並んだのは勿論、3~4時間もチケットに並んだのは初めて。
ええ、全く後悔はしていません。自分以上の猛者もおいででしたし。
当日は、コンビニでお菓子を多めに買って、
お尻が痛くならないようにクッションのある折り畳みマットを持参して、
寒さに耐えられるようにブランケットも持って、
ステンレスボトルにスタバのティーラテを入れて、
絶対退屈するだろうと予測して3DS片手に、万全の態勢で挑みました。
幸い、並ぶ場所も屋内だったので然程の過酷さはなかったし、
黙々とゲームをやっていたので、時間もあっという間に過ぎました。
それでもまだクリアできていませんでしたけどね、ドラクエ11。

・1回目→当日券・三階立ち見
・2回目→当日券・キャンセル待ち券での三階見切り席
・3回目→前売り券・二階最前列、しかも花道上の席
・4回目→当日券・一階前から二列目の見切り席

改めて振り返ると、遠距離、中距離、近距離と楽しむことが出来ましたね。
特に職場の人に協力して貰った三回目の席は、予想外に良くて、
劇場スタッフさんにこの席に間違いないか、確認してしまいました。

「これだけ観たら、満足したんじゃない?」とも言われましたが、
正直足りません! 東京公演にも行きたいなあ……無理だけど。
そして、こっそりと心のこりが二つだけありまして。

ひとつ・花びらを一枚欲しかった

いえね、タイトル通り、桜の花びらが散りまくる舞台でして、
折角舞台に手が届くほど近い席に座ることが出来たので、
記念にこっそり1、2枚ばかり失敬したかったかなーなんて。

ふたつ・お隣の席の方をナンパしたかった

前売り券待ちの列でお隣に並んだ方が、とても気さくな美人さんでした。
チケットをゲットしてシートに座ってから少しだけお話をしたのですが、
まあわざわざ当日券に何時間も待つ方なので舞台がお好きなのでしょうが、
お互いの舞台の好みがめっさ似ていて、すげえシンパシーを感じました。
これ、絶対何処かの劇場ですれ違っていたクチやん! レベル。
野田作品はお好きなようですが「~桜の森」は今回が初観劇だったらしく、
つい「今回は複数回この公演を観た」と口にすると驚かれたのですが、
上演後は「その気持ちが分かった。九州公演にも行きたくなった」と
話されておいででした。私も東京公演にも……<以下略
普段、舞台について語り合える知人が殆どいなかったので、
年齢的にも非常に近そうな方でしたし、本気でお友達になりたかったです。

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劇場では、パンフレットと共に、戯曲本も販売しておりました。
とりあえず購入。二冊目だけどね。歌舞伎版の舞台も見たくなってきたな。
難解だ、よく分からない、との感想を持つ方も少なくない野田作品ですが、
原作ありきの作品や贋作系は比較的理解しやすのではないでしょうか。

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