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突然食べたくなる

7月のお題「餃子」「羊羹」「サイダー」

「餃子」より小噺。
ジャンル違い要注意。
以下、楊太です。



スーパーの食料品売り場。
カートを押す彼の隣で、手にしたメモを確認する。
「挽肉…キャベツ…卵…ニラ…強力粉…」
どうやら、同じ大学の留学生から、餃子の作り方を聞いたらしい。
「皮も手作りにすると、すごく美味しいらしいのだ」
「そう言えば、手作りの餃子の皮って食べた事無いですね」
「うむ、わしもだ」
話を聞いた瞬間から、もう頭の中は餃子で一杯になってのう。
これは一度、食べてみなくてはと思ったのだ。

「頼むぞ。美味しい餃子は、お主の腕にかかっておるのだからな」

レジの列に並ぶ楊ぜんの肩を、満面の笑顔でぽんと叩く。
そのまま太公望は、鼻歌交じりにスーパーの外へと出て行ってしまった。
行き場の無い手を彷徨わせ、言いたい諸々をぐっと飲み込む。
そして、溜息をつきながら、楊ぜんは鞄の中から自分の財布を取り出した。



勿論、作って貰う気満々。

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