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昼食後にいきなり

オリジナル小噺。



大体、自分で言うのもなんだけど、俺ってホント優秀なんだよね。
耐熱仕様でレンジもオーブンも使用可能、食洗機だってオーケー。
おまけに、雑誌にも紹介された有名雑貨屋に並ぶくらいルックス良いし、
和にも洋にも馴染みが良いという順能性まで兼ね備えてて、
通り過ぎる人もつい足を止めて「可愛い」なんて言葉を掛けてくるし、
うん、まあそんな台詞も、もう今更聞き慣れている訳よ。
何処に出しても恥ずかしくない場所から輸入されているし、
所謂ブランド品な訳、昔からその筋では名の知れたメーカーの。
ほらね、裏を返せば判るでしょ。これ、陶器の常識。ステイタス。

それがさー、なによ、これ。もーなんなの。
あんまり文句は言いたかないけど、ちょっとアレじゃない?
それなりに、自分的にもプライドってのはあるのよ、うん、判る?
そりゃ、俺だって弁えているのよ、自分の立場?ぐらいはさあ。
テーブルに並べば、主役は料理、俺達はそれを支える脇役的存在。
食べ物の為にある存在だし、食べ物を引き立たせる存在だし、
そこについての文句は無いよ、だってそれが存在理由だもん。
でもさあ…だからって、この料理はどうよ。これに俺を使う訳?
マズいでしょ、流石に。どうなのよ、自分で味見してどう思った?
下手なのは仕方ないよ、人には得手不得手があるし、個性でもあるし。
でも、ここまでアレなのは、俺的にはどうしても許されないよ、マジで。
書いているでしょ、本に、ほら良く読んで、そこそこ、判る?
こう言うのって、気持ちを込めるのは勿論大前提だけど、
それだけでは埋められない溝ってものもあるの、悲しいけれど。
自覚はあるんでしょ、でなきゃこんな簡単なレシピ本買わないよね。
だったらさあ、せめて本に書いてあること位は、最低限実行しようよ。
特別難しい事がじゃないんだからさあ。ね?
これじゃいくら優秀な俺でも、流石にフォローし切れないって、もー。

「う、る、さ、い」

だから作り直したでしょ。私だって分かっているっつーの。
ごちゃごちゃ煩い買ったばかりのココットに、改めて作り直したそれを流し込む。
プレートに乗せると、設定温度に充分熱したオーブンに収め、問答無用に蓋をした。

(料理が苦手な私が、器に説教されるというお話)

コメント一覧

いちファン 2011年04月04日(月)21時07分 編集・削除

こんにちは、突然コメすみません。毎日拝見させていただいている者です!
なんかわたしはこのお話すごく好きです!
お皿は、ル○ルーゼかな?なんて思慮。
なにを作られたのかな、と想像しております★

cotton 2011年04月05日(火)00時23分 編集・削除

こんにちは、いちファンさま。
お皿、判っちゃいましたか、えへへ。
実際の器は全く違うものでしたが、「あ、これルク○ーゼだよなー」と思いながら書いておりました。
こちらのメーカーのお鍋とか器って、凄く可愛いですよね。
置いているだけでお洒落になるし、見ていると色んなレシピを想像しちゃいます。
嬉しいお言葉に、凹んだ心が一気に浮上しました。コメントありがとうございました。