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つまりエッグは

NODA・MAP公演「エッグ」を観劇してまいりました。

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設定、めくるめくどんでん返し、くるくる変わる時代、スピード感、言葉遊びなど、
全体的に初期の遊眠社を彷彿とさせる舞台で、わくわくしました。
最初の謎めいたやりとりをクライマックスで成程と思わせる手腕といい、
一つの台詞を幾通りにも解釈させる脚本といい……いやもう、敬服しております。
ナース姿と白衣姿の転換、選手交代と身代わり、塗り替えられる「記録」、
一見コラージュのようにばらばらでカオスじみているのですが、
振り返ると全てが繋がっていて、何処にも無駄がありません。
野田氏の細やかな計算高さは、種明かしされると、本気で愕然とします。
多分、気が付かなかった細かな部分全てにも、ちゃんと意味があるんだろうな。

ただ作品としてはさておき、物語に関しては、個人的に好みではありません。
政治色が強い作品に、ちょっと「うーん?」と思ってしまうクチでして、
同じ理由で三谷氏の「国民の映画」も苦手だったりします。
戦争ネタが苦手という訳でなく、絶対悪の存在に「?」となるんですよね。

そしてお願いですから、野田さん、関西での公演、もっと増やしてください(涙)。
東京のみ公演が多すぎです、チケットがなかなか取れません、抽選で外れます、
贋作桜の森を再演して下さい、現在の日本を代表する天才演出家なんですから、
同じ時代に生きた舞台好きとして、もっと恩恵に預からせて下さいよ、もう。

世界三大サーカス

ただいま奈良に来ている「木下大サーカス」を観に行きました。

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所謂、定番ですね。サーカスと来てイメージされるそのまんま。
空中ブランコ、猛獣使い、曲芸、マジック、アクロバット、ピエロ、等々
お約束のプログラムがひと通り抑えられております。

背中が「ひゃー」とするようなスリルあり、笑いあり、とても楽しかったです。
動物も可愛らしくて、思ったよりも登場&活躍してくれました。
特にゾウさん、貴方芸達者過ぎて、背中にチャックがあるかと思いました。
チケットもお手軽価格なので、近場の人には是非にとお勧めしますが、
ただ……どうしても言っておきたいことが一つあります。

追加料金で指定席を取りましたが、柱が邪魔で殆ど見えませんでした!

座席と舞台中心を直線で結んだ線上の間にテントを支える鉄柱があって、
本気で悲しくなるくらい、肝心なシーンが見えませんでした。
周囲の「おー」と沸く声で、何かあったんだなと解るレベル。
場所によっては、自由席の方が余程ちゃんと舞台全体が見えます。
テント小屋の構造故仕方ないかとは思うのですが、これはかなり切なかった。

折角なので今回は、姉と甥っ子君と行きました。そんな姉の本日の名言。
「(キャストの)親御さんが見たら、悲しむよ」
あまりにも危険で、怖くて、見ていて心配してしまうと言う意味で。

優しさと強さと

甥っ子君と映画を見てきました、「ベイマックス」です。
劇場には、おっきなベイマックスも来ていました。

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ネットなどでも目にしておりましたが、癒し系ではなく、アクション系。
でも、笑いどころも、泣かせどころも抑えていて、とても楽しめました。
背景の作り込みが驚くほどに細やかで素晴らしく、
映画館の大画面で見ていると、その世界に入り込むような感覚になります。
空を飛び回るわくわく感は、カメラワークの秀逸さの表れなのかな。圧巻。
アクションもカッコ良く、ベイマックスがロケットパンチを
空中で嵌めるシーンは、思わず「かっけー」と呟いてしまいました。
この映像の迫力を味わうだけでも、劇場で見る価値がありました。

ディズニー&時期だけに劇場内には小さいお友達が多かったですが、
みんな静かに映画を楽しんでいました。寧ろ斜め後ろの学生が賑やかだったな。
「アナ雪」の驚異的な大ヒットを割と謎に思っていた自分としては、
単純な好みの上で、こちらの方に軍配が上がります。観てよかった。

老若男女、誰にでもお勧めできる娯楽作品。やっぱ、ディズニーは凄いな。

奇襲ニ成功セリ

映画鑑賞「トラ! トラ! トラ!」をレンタルで借りました。勿論資料用。

正直「ハリウッド映画の真珠湾攻撃」なので、斜めに気構えておりましたが、
いやはや思った以上に中立的視点での作品で、かなり驚きました。
ありがちな人間ドラマも無く、ラブロマンスも無く、淡々と進行する物語なので、
映画にエンターテイメント性を求める人には不向きかもしれません。
でも自分的にはこのストイックな潔さが、良い意味で期待を裏切られたな。

後半のCGではない戦闘シーンの映像の迫力は圧巻の一言。
特に、暁の中を飛び立つゼロ戦の美しさとカッコ良さはトキメキが止まりません。
攻撃された米軍戦闘機の転がるプロペラの描写は計算なのか? やられました。
NHKドラマ「坂の上の雲」を見た時にも思いましたが、方言って味が出ますね。
あと、山本五十六氏の指に注目。細かいところまで、事実に忠実ですな。

所謂「戦争映画」は、これくらいヒューマニズムを排した方が好感が持てますね。
制作された時代を思うと、ハリウッドの懐の深さに拍手を送りたいです。

さまようひつじ

維新派公演「透視図」の観劇に行って参りました。
場所は中之島の川べりにある中之島GATEに設置された、特設劇場です。
ビルや夜の街を背景にした舞台美術は素晴らしく、とても絵になります。
十年ぶりの大阪での野外公演。今回のテーマは、大阪、川、島、ですね。
もともと大阪は、川が作った島が無数にある土地でして、そこを踏まえて、
大阪の川をボートに乗って会場に向かうツアーも開催されておりました。

秩序がありながらも混沌とした振り付けは覚えるのが大変そうなのですが、
それに今度は疾走感が加わり、役者陣は相当体力が必要だったんじゃないかな。
濃厚でありながら、何処までも冴えた透明感。群舞の中の孤独。川から海へ。
過去と現在と刹那。幻想の街を疾走する少年。時報の音と重なるものは――?
余韻の残る音楽も美しく、独特の世界観にどっぷりと浸ることが出来ました。
二時間と言う少し長めの上演時間でしたが、あっという間に感じました。

もしかすると、今作は維新派初心者でも取っ付きやすいんじゃなかろう……かな?
贔屓目なしに考えても、大阪での野外本公演なんて本当に久しぶりだし、
大掛かりな舞台に関わらずチケットは比較的手が出し易いお値段設定だし、
実際演出の松本氏は幾つもの芸術賞や紫綬勲章を受けた才能溢れる方だし、
この唯一無二の劇団は日本演劇界では間違いなく伝説になると思う。
でも「足の運べる方は是非!」とならないのが、維新派の維新派たる所以。
すごく惹き付けられるか、全く理解できないか、極端な二択に分かれそう。
但し波長の合う方は、遠くの地方公演にも、貪欲に足を運ぶようになります。
芝居云々より、現代アートに興味のある方のほうが楽しめるかも知れません。

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ネタバレへの考慮からか、今回劇場内は写真撮影禁止。これは外から見た劇場。
川縁での特設舞台だけあり、風がまともに当たります。寒いです。防寒対策必須。
急に冷えたのを考慮して、ニットポンチョに大判ストール持参で挑みましたが、
お隣の方はダウンのコートをトートに入れて持参されておりました。

生命のおとぎ話

観劇に行って参りました、シルクドソレイユの「オーヴォ ovo」です。
今回は草木の下で生きる虫の世界を描いた、シルク初のファンタジー作品。

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ラッキーなことに、前から三列目のかなり良い席が取れまして、
空中ブランコは上を向くと首が痛くなるぐらいだし、紙吹雪は被り放題、
それぞれのアーティストさんの表情や息遣いさえも感じ取れ、
正に等身大の演技を目の当たりにすることが出来ました。

昆虫世界に見立てた舞台セットやカラフルなビジュアル、衣装はかなり好み。
今作、メインクラウンが日本人だったんですね。謎のオーヴォ語での会話の中、
「ユルシテチョンマゲ……」との呟きに初めて気が付きました。
この言い回しは、日本人にしかできないと断言するよ。マジで。
各パフォーマンスは文句無し。ひとつ前に観たのは「ドラリオン」だったかな?
それと比較するとかなり安定感がありました。ぽかん口で見入ったよ。
「クリーチュラ」でしたっけ? あれが謎過ぎて凄く面白かった。インパクト大。

それにしても、観劇に心が痛かったのが、甥っ子君を連れてこなかったこと。
関西にやって来た頃、部屋に置いていたオーヴォチラシを発見して以来、
何が琴線に触れたのかやたらと気に入ったらしく、チラシを壁に張ったり、
動画サイトを見たがったり、テレビCMにはしゃいだりしていたんですよね。
あまりにも「おーぼー」「しるくどそれいゆー」と連発していたので、
婆ちゃんから「お金は出すから一緒に観に行ったら?」とも言われておりました。
でも決してお安くないチケット料金と甥っ子君の年齢、本当に楽しめるかどうか、
価値が分かるかどうか、最後まで声を上げずに大人しく観劇できるか等を検討し、
姉とも相談した結果、今回は見送ろうと判断&却下となりました。
映画館でも時々声を上げるからなー。まあ、周りのちびっ子達も同様ですが。
せめて……とお土産を買いました。オーヴォ卵のミニカー。シュシュは自分用。
蝶々型の色紙は花吹雪。ものすごい量の花吹雪が、全部この形でした。すげえ。

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受け取った甥っ子君は「おーぼだーっ」と喜んでくれた後、
ちょっと微妙顔で「おーちゃん、おーぼ、みにいったの?」と聞いてきました。
罪悪感、半端ねえ。やっぱ、お土産買わなきゃ良かったかな……自分の馬鹿。
ちなみに、シルクドソレイユは気持ち早目に会場入りするのがお勧め。
限定品が売っている軽食コーナーやショップや、特設の展示物もあり、
サーカスが始まる前のドキドキワクワク気分が味わえますし、
劇場内では一足早めに演者が客席にてパフォーマンスを始めたりもします。

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次回来日の際には、甥っ子君も一緒に楽しもうね。

ラブリー大怪獣

甥っ子君が「これみたいー」とウルトラマンのディスクを手渡してくる

もう夜遅いから明日にしようね、と宥める

翌日、さあ見ようかとセットするも、全く起動しない

どうやらブルーレイディスクだった模様、我が家のデッキはDVDのみ

買い物ついでに、可愛そうだったかなーと、レンタルに立ち寄る

特撮コーナーにあるウルトラマンの何かを物色

特撮コーナーの横に陳列されていた、ゴジラシリーズを発見

てな訳で、怪獣映画の元祖であり伝説、1954年版の「ゴジラ」を鑑賞しました。
あまりにも有名なこの作品、まあ時代だけにツッコミどころは結構満載。
でも当時の社会背景や制作状況を思えば、力の入った作品なのだと伺えます。
古い映画は当時の音響技術の限界や独特の演技、やや早口な台詞回し等の為、
どうにも科白が聞き取り難いのが辛いですね。字幕が欲しくなります。
作品としてはきちんとしたメッセージ性もあり、テーマソングの秀逸さも加わり、
思わず吹き出したりや裏手ツッコミも含めつつ、最後まで楽しく拝見しました。
それにしても、やたらと気になったのが、海の中を移動するゴジラ。
海面から顔を出す際は常に直立姿勢ですが、あの姿勢で移動しているの?
海中でも足音が聞こえていたから、水を掻かなきゃ沈んでいるんだよね?
となると、優雅な白鳥の如く、水面下ではあの足を必死にバタつかせている訳?
しかもあの体勢で立ち泳ぎなら、体を浮かせるのが精一杯でしょ? 
なら、前に進むには、やっぱりあの短い腕をばたばたさせるのだろうか?
……などと、手足をじたばたさせるゴジラの妄想に、ときめきが止まりません。
ゴジラに嵌る人の気持ちが、ちょっぴり判った気がします。
シュタイフ社の限定販売ゴジラぬいぐるみ、すげえ欲しくなってきました。
でもあのお値段がなあ。見た目に反してちっとも可愛くありません。ちくそう。

そういえばゴジラの例の雄叫び、文字に書き起こすならどう書けば良いのだろう。
誰もが一度は聞いたことのある声ではありますが、非常に文章化が難しいです。

サードステージ

観劇して参りました、「朝日のような夕日をつれて2014」です。
鴻上氏主宰のひと昔前の演劇ブームの一角の「劇団第三舞台」の代表作ですね。
正直、まさか自分がこの生舞台を観ることが叶うとは、思いませんでした。

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「第三舞台」と言えば、当時「夢の遊眠社」「東京サンシャインボーイズ」等と並び、
小劇場演劇ブームを引っ張る人気劇団の一つ……だったんじゃないかな、確か。
この作品はそんな劇団の旗揚げ公演の戯曲を、現代版に修正されたものでして、
ネタも笑いも今が旬なものに細かくリメイクされておりました。
ただ、なんというか、小演劇ブームの頃の「時代」を感じました。
シンプルな舞台に、必要最低限の小道具、時々挿入されるダンス、
そして動く、喋る、スピード感を重要視する舞台運び。
確かに当時は、全体的にそんな舞台をする劇団が多かったみたいですね。
特に中心になった役者二人は、初演当初からずっとこの役をされているのかな?
兎に角運動量と科白の多さと滑舌に驚きます。藤井隆氏も腰の切れが良かった。

内容は「ゴドーを待ちながら」をベースにしたものですが、
後半は物語が一転、二転して、同氏の戯曲「トランス」を彷彿としました。
個人的には「トランス」の方が、分かりやすくて好きかな。
鴻上氏の作品は、タイトルがとても印象的ですね。

それにしても、8月に観た舞台三本中来日公演を除く二本で、
「進撃の巨人」ネタが出ており、その人気の高さが伺えますね。
今、旬ネタなんだろうな。

ロシアンマイム

観劇メモ、「スラバのスノーショー」を観て参りました。

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過去に幾度かシルクドソレイユの公演を観に行ったことがありますが、
実はその中で一番印象に残ったのが、「アレグリア2」のラストのクラウン。
そのクラウンの舞台と聞いて、今回興味を持って足を運びました。
失敗したのが、体感型舞台なのに、うっかり二階席を取ってしまったこと。
チケットを一気に購入した中の一つなので、節約心が動いちゃったのですよ。
会場の入り口には、劇場内のスモーク&大雪&強風注意報。

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内容は、笑いよりも雰囲気重視のクラウンマイムです。
シルクドソレイユ参加のクラウン、観客一体型舞台との煽り文句、
且つ夏休みという時期も重なった為か、家族連れも沢山いらしていました。
ただ、美しいビジュアルや、クラウンのイメージが持つ
何処となくもの悲しさと哀愁漂う世界観は良いのですが、
ロシア系独特のトーンの低さがあり、ある意味観念的な側面もあり、
子供が手放しで楽しめる舞台……とはあまり思いませんでした。
とは言え、客いじりや、変わった仕掛けもふんだんに盛り込まれ、
観客も一体になって楽しめる要素は充分に詰まっております。

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ラストは、写真撮影も席移動も可。一階席に走って移動したよ。
間違いなく良い舞台なのですが、でもなぜだろう、微妙に物足りなさが残ります。
来日公演の舞台って時間が短いから? 感性が違うから? チケットの高さ?
そういや、以前「ドラムストラック」を見た際にも近いものを感じましたな。

突き刺す透明感

なにわ橋駅にあるアートエリアにて開催されている、
「維新派の16,259日」展へ行ってきました。
実際の舞台を彷彿とさせる空間に、過去の公演ポスター展示や、
過去作品の映像上映、公開講座の開催なども催されております。

そして各々方、こいつを見てくれたまえ。

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今秋大阪で上演される公演「透視図」の舞台模型が置いておりましたが、
なんとまあ美しい。これ、タイトルロゴとシンクロしているんですね。
維新派の舞台美術の美しさと、手抜きの無い感じは、毎度本当に感心します。

久しぶりの大阪での野外舞台本公演。チケット、もう買いましたよ。
いろんな企画も相まって、力の入り具合も伝わり、今から非常に楽しみです。
維新派はその個性の強さから決して万人にはお勧めできないのですが、
それでも、舞台に興味のある方には、是非一度「体験」して頂きたいです。

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