11月のお題「ラーメン」「マカロン」「紅茶」
「ラーメン」より小噺。
ジャンル違い要注意。
以下、封神・楊太です。
残業が終わり、良い店を見つけたんですよと誘われ、二人で飲みに行った。
程々に酔った所で、小腹が減ったと言ったら、ラーメン食べますかと誘われた。
そのまま線路の高架下にある屋台に並んで座り、二人でラーメンを啜った。
ここ連日、こんな調子だのう。
仕方ないですよ、時期的にそうなんですから。
なーんか、疲れた。癒しが欲しいのう。
癒しって、例えば?
こう、可愛くて優しい恋人に、笑顔でにこっと…。
こんな風にですか?
にこりと向けられた笑顔は、確かに可愛くて優しかった。
思わず大笑いしてしまうと、奴はちょっと拗ねたようにじろりと睨む。
もう、本気なのに。
おぬし、面白い奴だのう。
本気なんですよ…僕は。
その声が含む真摯な響きに目を丸くすると、奴は唇を噛締めて俯いていた。
ちゅるりと麺を啜り、飲み込む。
本気なんです、本当に。
のう。
はい。
なんで、それをさっきの店で言わなかったのだ。
静かで感じの良いさっきの店でなら、雰囲気もばっちりだろうに。
それがなんで、こんな小汚い屋台のラーメン屋なのだろうか。
言おうと思ってたんですよ、そのつもりで誘ったんです。でも…。
消え入りそうな声で語る真相は、高架上を走る電車の音にかき消されてしまった。
真夜中に食べるラーメンって、美味しいんですよね。