傘をね、置き忘れてしまいました。電車の中に。
朝、出勤の時、乗車した電車の座席の一番端っこに座ったので、
手摺のところに凭れかけさせて置いたのですよ、傘をね。
なんか、ここに置いたら、降りる時にうっかり忘れそうだな。
もし忘れたら、傘の特徴を言う時、微妙に言い難い柄なんだよね、この傘。
色って言っても、赤と黒と白と緑? 辛子色っぽいラインが入っているし。
ストライプだけど開くと中は水玉だし――まあ、そこは言わなくていいか。
……等と考えながらうとうとして、下車駅到着で慌てて降りた瞬間、
背中で扉が閉まると同時に、置き忘れたことに気が付いたのですよ、傘。
ホームから改札に向かうその足で、駅員さんに傘の忘れ物を伝えたのですが、
忙しい時間帯だったのか、人が少なかったのか、なかなか慌しいご様子。
自分の後ろにも駅員さんに声をかけたい人が二人組ばかり待っているし、
時間もあまり無いし、とりあえず携帯番号を伝えてその場を離れました。
お昼の休憩時間、携帯を見ると、下車駅から着信履歴がありました。
折り返して連絡すると、忘れ物の傘が見つかったの事。良かったー。
「○○駅(下車駅から二つ向こうの駅)で保管しています」
「ありがとうございました。えーっと、そちらの駅に伺えばいいんですね」
「最寄り駅に取寄せておきましょうか?」
「良いんですか? 助かります! じゃ、(下車した)□□駅でお願いします」
「△側改札口と×側改札口、どちらでお預かりしておきましょうか」
ちょ、そこまでしてくれるんかい!
お言葉に甘え、いつも利用している、朝に立ち寄った側の改札にお願いしました。
その日の仕事帰り、お願いした改札口に立ち寄って、傘の件を伝えました。
よく覚えていなかったのですが、朝に対応してくれた駅員さんだったのかな?
「朝はばたばたしてて、申し訳ありませんでした」
いや、申し訳ないのはこっちだよ!
忙しいのに、お手を煩わせてしまって申し訳なかったのはこちらですから。
てか駅員さんって、随分丁寧で良心的なんですね。正直びっくりしました。
駅員さん、良い人だー。結構感動しました。ありがとう、ありがとう。