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名はファキイル

舞台「盲導犬――澁澤龍彦「犬狼都市」より」を観劇しました。
原作・澁澤龍彦、脚本・唐十郎、演出・蜷川幸雄ときて、
出演が古田新太、宮沢りえとは、なんという濃度……すごいな。
先日のから、寺山修司といい、維新派といい、
なんか趣味を勘違いされそうなラインナップが続いております。

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写真機能、なんか勝手に変なシーン選択になっていたようです……あう。

予想通り、アングラ色のあるやや不条理系&観念的な舞台でして、
人によっては解釈の難しい、唐十郎氏ワールドの濃厚な世界観に浸れます。
特に後半からラストへの流れには引き込まれ、観ていてどきどきしました。
「服従」と「不服従」をテーマにした内容は奥が深いのでしょうが、
残念ながら底の浅い自分に理解できたとは言い難いです。
でもこれ、もう一度見たいなあ。部分部分で、蜷川演出がツボにハマります。

古田氏は貫録があって、小出氏を良い感じに引っ張っていたと感じました。
氏の声は、ホント舞台でよく映えますね。やっぱ好きだなあ。
宮沢りえ女史の熱演も素晴らしい。最近の舞台での活躍には目を瞠ります。

記念館でも販売

先日行って来た「寺山修司◎映像詩展」、二度目の映画鑑賞をしました。
100席程度のミニシアターでの上映ですが、立ち見客も出る程の盛況ぶり。
期間中は日替わり&時間代りの上演なのですが、実はこの日が本命。
短~中編映像作品を、一気に15作品見て参りましたよ。

寺山映画上映での目的は、一回目上演「草迷宮、ほか」の「草迷宮」と、
三回目上演「実験映画集2」の「トマトケチャップ皇帝」だったのです。
「草迷宮」は泉鏡花氏の原作を元にした作品ですが、これはすごく良かった。
名作と言われるだけに、実に寺山氏らしい映像が楽しめます。
40分という長さ的にも、寺山作品を初めて見る人にはこちらをお勧めします。
これを見て、寺山作品に肌が合う、合わないを計ることが出来そう。
「トマトケチャップ皇帝」も風刺的には非常に良かったのですが、
子供がこれの撮影に参加……と考えると、ちょっと冷や汗が流れます。
でもこれ、短くなかった? 母への手記とか無かった? 完全版じゃないとか?
それ以外には「迷宮譚」「審判」「檻囚」が印象に残ったかな。
観客が画面に出入りするパフォーマンス上映で知られる「ローラ」は、
映画館ならではの作品なので、今回見ることが出来て良かったです。
言い回しに時代が感じられて、思わず笑っちゃいました。

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映画館の写真を取ろうと思ったけど、到着した時には既に入り口には行列、
上演の合間は結構な雨降りだったので断念。
映画館では「家出のスルメ」と「田園に歌詩集(カシス)」が販売中。
氏の代表的な作品(家出のすすめ&田園に死す)にちなんだ商品名で、
おつまみと、青森のメーカーが作った期間限定のスイーツだそうです。
……ちょっとだけ、気になりました。ちょっとだけなんだからね!

退廃的で耽美な

映画を観てきました、寺山修司監督の「上海異人娼館」です。
ミニシアターでの上映でしたが、予想以上に席が埋まっておりました。
男女年齢層問わず、芸大にいそうなタイプの人が多かったですね。

内容は、一言で表現すると「ポルノ」です。セックスシーンが露骨に出ます。
それもその筈、原作は過去何度も発禁に遭ったエロス文学「O嬢の物語」、
その舞台を上海の租界時代に移したものですが、
それに寺山氏独特の小技がスパイスのように隅々に散らされておりました。
こう、アスファルトの水溜まりに浮かぶ漏れたオイルの七色のマーブルが、
レンズ越しにフィルター掛かっているような、そんな映像。
ここで虹とかシャボン玉とかと表現しない辺り、どうぞお察し下さい。

面白いなと思ったのが、日本語、英語、中国語、フランス語、
四カ国語が入り乱れているにも拘らず、違和感が無いんですよね。
あの時代の中国は、案外そんな感じだったのかもな。
そして、チョークで描いた「四角」の抽象性。
「レミング」の舞台でもありましたが、これ良いなあ、面白いなあ。
寺山氏の熱烈なファンとは決して言えませんが、こんな所がツボにきます。
あと、SMは苦手ですが、意外に寺山氏の映像では大丈夫でした。
この見世物小屋系のインチキ臭さが、リアルさを感じさせないからかな。
ビジュアルは確かに綺麗なので、アート的な位置付けに感じるのかも。

フランスでは評価が高かったらしいですが(これホントに?)、
確かにフランス兄ちゃんなら、この愛とエロスを熱く語りそうですね。
ドイツさんも興味深く鑑賞しそう、ジャーマンズ真顔で。
それにしてもこのストーリー、オリジナル二次創作問わず、
18禁の同人ネタとして、ものっそい流用できそうだな。

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今年は寺山氏の没三十年と言う事で、その企画の一つの上映。
各地でその関連企画や、公演も行われるようですね。
折角なので、この機会に彼のアングラ世界にどっぷり浸ってみよう。

壁抜け男の残像

舞台観劇してきました、「レミング~世界の涯までつれてって~」です。
寺山修司主催の劇団「天井桟敷」の最終公演を、
維新派の松本雄吉が演出するとは、なんというcottonホイホイ。

観終わった後、先ず「賛美両論がはっきり分かれるだろうな」と思いました。
寺山氏の原作は未見ですが、所謂不条理系の舞台なのかな?
天井桟敷のインチキ臭い見世物小屋の猥褻感がかなりマイルドになり、
維新派の独特の突き抜けたアート感がスタイリッシュな味になっていました。

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基本、ストーリー性のある舞台の方が好きなので、
維新派の舞台は自分でも驚く程に当たり外れが激しかったりします。
今回は……結構微妙。でも、やっぱり観て良かったです。
「良く判らん」とは思いつつ、この強烈なインパクトって、
維新派以外ではまずお目に掛かれないんですよね。
理解するのではなく、居合わせ、体感し、感じ取る舞台……それが維新派。
寺山氏同様、多分日本の演劇界で伝説になるだろうな。
今後も気になる公演があれば、足を運ぶでしょう。
何だかんだ言いつつ、維新派に侵食されております。

常盤貴子女史は、良く出演を引き受けたな。彼女である必要はあったのか?
松本氏は役者の「個」を無くして一種オブジェと化させますが、
ある意味寺山氏もそうなのかも……と、今回の舞台で思いました。

全宇宙対全地球

珍しく、映画を観ました。「スーパーヒーロー大戦Z」です。
仮面ライダーとスーパー戦隊と宇宙刑事の夢の共演を実現したGW映画。
甥っ子と一緒に行きましたが、言い出したのはワタクシでした。
だって、テレビ録画を再録する度に流れるCMでちらっと見える
特典の「お助けショッカー」がやたら気になってしまい、
丁度映画の千円デーだったし、じゃあもう勢いで……と、
ショッピングモールへの買い物ついでに映画館に入りました。

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甥っ子ちゃんにとっては、これが記念すべき劇場映画デビュー。
初めての映画館、大丈夫かなーと心配しましたが、
時々もそもそしたり、ねえねえとこちらに声を掛けたりするものの、
うろつく事も無く、眠っちゃうことも無く、最後まで楽しそうに観ていました。

映画は普通に面白かったです。特撮のアクションは、子供向けと侮れませんね。
ストーリーも判りやすく、時々突っ込み所はあれど、見せ場もあり、
笑いもあり、ポーズもカッコ良く、良い意味でのチープ感を上手に使い、
特撮の醍醐味が充分詰め込まれていたのではないでしょうか。
あと、悪の親玉の男優さんが、良い味と存在感を出していました。
個人的には、元祖ヒーローの「とうっ」という掛け声を聞けて、結構満足。
ちなみに目的の半分でもあった、特典の「お助けショッカー」、
フィギュアなの? と思っていたら、ペンスタンドでした。

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おまけ。映画館の入り口にあった200円ガシャポンで、
甥っ子くんがゲットした戦隊ヒーローと並べてみました。だから? 的な。

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映画館での甥っ子くんの面白行動だけで、二、三本お話が書けそうだぞ。
テンションの高いちびっ子の可愛いさに、ぷるぷるしてしまいます。

芸術家の光と影

観劇メモ、三谷幸喜氏演出の「ホロヴィッツとの対話」を観てきました。
劇場に来ていた観客の層が幅広く、氏の知名度の広さが表れていますな。

天才ピアニスト夫婦と調律師夫婦の織りなす、
三谷氏の舞台らしい、場面転換と出演者が抑え気味の、
コミカルながらもちょっとほろ苦さのあるお話です。
役者陣は、それぞれが主役級の大御所さんという、実に豪華な顔ぶれ。
そんな中でも段田氏と高泉女史は、いやもう流石の一言です。
あの棘と毒のある個性的な役を、ここまで嫌味無く、
そして愛すべきキャラとして演じることが出来るのは、
台本だけではなく、役者としての力量あってのものでしょう。
渡辺氏は映画役者としてのイメージが強かったのですが、
長身も相まって舞台でも映える方ですね。あと、声が良いのかな? 
映像では籠りやすそうな声質との印象を持っていたのですが
耳触りが良くて、台詞がとても聞き取りやすかったです。

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こうしてみると、三谷氏の舞台って、ある意味正統派なんですよね。
宝塚や新感線とは違う意味での、お約束な安定感があります。

謎に満ちた髪型

少々間が開きましたが、折角なので観劇メモを。
劇団新感線「ZIPANG PUNK~五右衛門ロックⅢ」です。
原稿に追われながらも、すいません、舞台だけは外せないんです。

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内容は、相変わらずの新感線節炸裂&オンパレードです。
歌あり、踊りあり、笑いあり、チャンバラあり、エンターテイメントの王道。
五右衛門ロックはこれで三回目ですが、一回目の時のテーマソングが、
さり気なく使われていたりするのが面白いですね。

ただ、個人的には今回、ヒロインが弱かったように感じました。
単純に自分の好みの女性像から外れていただけかもしれませんが
一回目の松雪不二子ちゃんや、二回目の天海オスカルさまが魅力的なだけに、
非常に勿体無かったように思えてしまいます。
寧ろ、数々を衣装を着こなし鮮やかに七変化する、高田女史に目が惹かれたな。
彼女こそ、影のヒロインでしょう。ええ、間違いなく。
そしてもう一人、舞踏界の大御所、麻赤兒氏が素晴らしかった。
名前こそ知っているものの、舞台で見るのは初めてだったのですが、
その流石の貫録と存在感に驚きました。すっげえ……。

舞台が終わって劇場を出ると、出待ちの行列がすんげえ並んでおりました。
三浦春馬氏目当てなのかな? 彼、人気のある人だったんですね。<無知

愛それはあまく

宝塚月組「ベルサイユのばら~オスカルとアンドレ編~」を観劇。
有名なこの演目、ファンならずとも一度は観てみたかったのです。
しかも、テーマがオスカルとアンドレって、これは見逃せないでしょう!

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もうね、ピンクだし、ひらひらだし、きらきらだし、ふわふわだし、
初っ端から華やかさがてんこ盛りの舞台でした。正にめくるめく夢の世界。
時々思わず突っ込みたくなるような展開や台詞回しがありますが、
大丈夫、直ぐにその世界観に慣れてしまいます。いや、ホントに。
クライマックスでは、気が付くとほろりと涙が零れました。
でも、ラストの馬車には、度肝抜かれました。ええー。

宝塚はゲームや漫画、人気ドラマを取り扱う等、意外に遊び心がありますね。
来年は宝塚歌劇団百周年という節目の年でもあり、
何やら面白そうな演目が出てきそうで、今後とも要チェックですな。

日と独との物語

順番が逆だと思いつつ、旅行帰還後に、映画「バルトの楽園」を観ました。

内容だけに、最後まで安心して観ている事が出来ます。
松江所長は「怒った顔も笑った顔も見た事無い」と称される程、
生真面目な人物だったと本で読んでいたので、
人間臭く演じる松平さんにはちょっと違和感があったかな?
自転車に乗るけど、一度降りないと角を曲がれないってのは萌えました。
あと、さり気ない出演者も、かなり豪華でびっくり。
市原女史と、大杉氏は、もっと活躍させるべきだと思うんだ。

養女の件にせよ、折り紙の恋物語にせよ、植物学者にせよ、
盲目の俘虜兵にせよ、閣下にせよ、パン職人にせよ、展覧会にせよ、
演奏少年達にせよ、ネタ的に面白いエピソードが満載なのに、
どれもあまりにさらっと流され過ぎて、すっごく勿体無く感じました。
映画としての制限がある以上、これはもう仕方のない事でしょうけどね。
いっそ、連ドラで取り扱った方が良く無かろうか?
年末大型時代劇とか、○HK大河とか……今なら視聴率取れそうだけどな。
自分に脚本の才能があれば、一度は挑戦したい題材ですね。
脚色たっぷりで。ややコメディ路線で。地元紹介ネタも含めて。

発表翌日の公演

舞台を観劇、太鼓芸能集団鼓童出演の「打男 DADAN」です。
漢気溢れるタイトルですが、演出はなんと歌舞伎の女形で有名な坂東玉三郎氏。
氏は鼓童の芸術監督を勤めていらっしゃる模様。才能豊かな方ですね。
そして、人間国宝認定、本当におめでとうございます。

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タイトルに負けず、いやはや非常に熱い舞台でございました。
幻想的なオープニングを経て、中盤は凄い迫力。テンション上がります。
大太鼓を叩く撥の残像が、すっげえカッコ良いのですよ。

何となく海外の人に受けが良さそうだなとの印象でしたが、
フランスで上演されたものの凱旋公演だったんですね、成程ー。
硬派で伝統的な和太鼓演奏を望む人には物足りなく感じるかもしれませんが、
照明や映像の演出も面白くて、個人的には充分楽しめました。
和太鼓は花火同様、断然生がお勧め。身体全体で音を体感できます。

それにしても、流石に皆さん、良い身体していますね。
引き締まった背筋や上腕部の盛り上がり等、鍛えられた筋肉が素晴らしい。
実に眼福でございました。

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