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夏休み最後の日

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項垂れて、見送る。

美しい日本語とは

読書覚書

・「港町食堂」奥田英郎
直木賞作家による、船から始まる旅エッセイ。
恐らく、旅情を誘うエッセイを求める人には不向きでしょう。
船の醍醐味を押し出す訳でなく、魚料理が出る訳でなく、
作者氏はひたすらマイペースで、怠け者で、食いしん坊。
緩く、だらだらしてて、旅エッセイに有りがちなアクティブさはありません。
独特の口調や、口癖が、妙な味を出していて、
この作者氏とくだらない話をしてみたいなあ…と思ってしまいました。

・「万葉集・角川書店編」 坂口由美子
資料用に拝読。これネタで一本作るつもりでしたが、やっぱり無理でした。
でも書きたいネタはあったので、気が向けばオリジナルで挑戦したいです。
初心者用に編集されたもので、とても判りやすく、非常に興味をそそられます。
古代人の感性の素晴らしさと、万葉集の完成度の高さを再認識させてくれる一冊。
こんな素晴らしい先人が居た国に生まれた事が、非常に嬉しく思えます。
嗚呼、日本語って素晴らしい。

・「日本人の知らない日本語」蛇蔵&海野凪子
新聞の紹介欄の記事を読んで、気になった漫画エッセイ。
漫画だけに、あっという間に読み終えてしまいました。1時間かかってないかも。
気付かずに、間違った日本語を結構使っていて、激しく反省。
日本語って、難しい言語なんですね。きちんと使えるようになりたいな。
ちょっとしたエピソードや豆知識も面白く、続編を期待しております。
この手の漫画エッセイって、ひとつのジャンルを確立してますね。

人類を救う元少年

テレビで放映していた映画「20世紀少年」1章と2章を観ました。
とは言え途中から&時々席を外していたので、内容は全く判らず。
でも、この手の謎が謎を呼ぶ展開は非常に好みなので、
映画はさておき、むしろコミックスの方を一気読みしたくなりました。
結構長編なんですよね?廉価版って売っていないのかな?

ちなみに、漫画が読みたいと激しく思ったのは、ただ一つ。
「豊川悦○が女の子を助けに、教会へ飛び込んできたシーン」を見て。
超ありきたりで、超お約束な演出だと判っちゃいますが、
単純にこーゆーのに弱いのです。ハートを打ち抜かれちゃいました。
トヨエツファンってな訳でもないのですが、彼の役どころの美味しさには、
毎度悩殺されます。この人、カッコ良い役が多過ぎ。

同原作者の作品では実は「マスターキートン」を所持しておりまして、
これは「捨てられない漫画」のひとつになっております。
ちなみにコミックスを買ったきっかけは、そのタイトルから、
某喜劇役者の物語だと勘違いして。それも今では良い思い出さ。

サンダルの内に

久しぶりにネイルを購入しました。
爪が弱くて、割れ癖もあって、何かの時以外は滅多に塗りませんが、
辛うじて足の爪は大丈夫なので、エナメルはそちらで楽しんでいます。

購入したのは、「チャイナグレースネイルポリッシュ(182・RUBY PUNPS)」。
かなり深みのある深紅で、指先にはちょっと使えないのですが、
どうせペディキュア用だし、肌が綺麗に見える人気のカラーとの事。
これからの季節、この手の秋色には、つい目が行くんですよね。秋色大好き。
こちらのブランド商品は初めてで、その名前から中国のメーカーかと思いましたが、
チャイナ=陶器、の意らしいです。ああ、成程。陶器の艶かー。
週末に頑張って、ネイルアートにチャレンジしてみようかな!
(不器用者が、何を偉そうなこと言ってんだか)

季節はまた巡る

朝晩は勿論、日中も日陰にいると涼しくなって参りました。
日曜日にはお布団も出しました、タオルケット一枚では寒い位です。
寒がりの末端冷え性なので、そろそろ昼間でも、
サンダルでは足の指先が冷たいと感じております。
週末にはミュールも仕舞って、秋服を少し出そうかな。まだ早いかな。

でも、季節の移り変わるこの空気って良いですよね。
春夏秋冬どれもそれなりに好きですが、実はその境目が一番好きかも。
特にこれからは、食べ物も美味しくなるし、チョコの新商品も増えるし、
攻撃的な太陽光線も落ち着くから、旅行にも行きたくなります。
あー、温泉行きたいなー、近場の海外も良いよなー。

これも人身売買

ハーレクインロマンスより。
元ネタはこちら

「独身男性を買おう」チャリティーオークション…ってのがあって、
お金持ちのマダムが、週末を一緒に過ごす男性を競り落とすお話から。
一応由緒あるオークションで、収益は小児病院へ寄付。
でも、こんなチャリティ、本当に有るのかな?

ジャンル違い、要注意。
以下、楊太です。



初めてのチャリティー参加で、良く内容を判っていない望ちゃん。
やたらと盛り上がる会場内で、同行してきた普賢に説明を聞きながら。

望「ふむ。要するに、金額を提示すれば良いのだな」
普「うん、簡単だから、試しにやってみなよ」
望「そうだのう…では」

3千ドル、4千ドル、6千ドル、9千ドル…と、どんどん値が上がる最中。

望「えっと…9千2百ドル!(ちょっとだけ上げてみた)こんな感じかのう」
吉「9千2百ドルですね!他にございませんかー?」

ぴたりと声が止まる。

吉「はい、ハンマープライス!9千2百ドルで、おっしょー様の落札です!」
望「はあっ?!」
普「凄いじゃない、望ちゃん」
韋「いやーやるねえ、あんた」
発「お前の熱意にゃ、このオレ様も負けたよ」
天「スースの想いの強さには、オレっちには敵わないさ」
玉「どうかあの子を幸せにしてやってくれ」

あっさり身を引く参加者達。なんだなんだと、訳が判らない太公望に。

楊「はじめまして、シュガー。貴方が僕を射止めてくれたのですね」
望「射止めるなんて、てか、わしは、ええええっ?!」
楊「照れないで、プリンセス。貴方の熱意に、僕は壇上で胸が熱くなりました」
望「ぷ、プリンセスうっ?」
楊「早速、週末の予定を立てましょう。二人っきりで」
望「二人っきり?週末?何の事だ?」
楊「とても楽しみです。忘れられない週末になりそうですね」

週末だけで終わるのか?

普「良かったね、望ちゃん。楽しんできてね」
楊「任せて下さい。僕は天才ですから」
普「君には言ってないよ」

勿論、場慣れしたフッキ様でも可。
華麗に競り落とした王子に。

伏「お主を買ったのは、このわしだからのう」
楊「貴方が僕の御主人様という訳ですね」
伏「週末は、精々楽しませてくれるのだろうな」

いきなりアダルトチックな展開になりそうだ。
でも、考えてみたら、別に独身男性を買ったとはいえ、
ピクニックに行ったり、ショッピングの荷物持ち&運転手をさせたり、
シングルマザーなら一日お父さんとなって子供と遊んでもらったり、
家政夫として家事一切をやってもらったり…てのも良い訳ですよね。

伏「ほら。とっとと草むしりせんかい!」
楊「この広い桃農園を、僕達二人だけでですか?」
伏「この週末には、全部終わらせるのだ。きりきり働かんかっ」

すいません、所詮こんなオチしか出てきません。

花咲く牧場から

青森に行って来た母親が、空港で買ってきてくれたお土産がこちら。

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噂の生キャラメル、今度は青森りんごバージョンです。
結構あちこちで地域限定が出ていたんですね、知らなかったな。
北海道でホワイト、沖縄でマンゴー。最近やたらと遭遇率が高いです。
特別注目していたつもりは有りませんでしたが、
ここまでくると、他の地域限定も気になってきます。
基本、食べ物にはミーハーで、限定物には非常に弱い人間でございます。

食べ比べてみると、林檎も美味しかったけど、
やっぱり普通のプレーンキャラメルが一番かな?
でも、帰省した姉曰く。今年の誕生日にプレゼントした、
電子レンジで作る生キャラメルメーカーで作ったものと、
殆ど味に差は無かった模様。むしろ…ごほごほ。

デニッシュの幸せ

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結論。やっぱり買って直ぐ食べるのが、一番美味しい。

この光の道行き

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ゆらりゆらりと灯がともる

上の歯は楽らしい

8月のお題

「シャボン玉」
壊れて消えず、広がり、沁み渡り、蒼天の輪廻へと同化した



親知らずを抜きました…これで二本目…あと半分…鬱。
でも、前回に比べると、やや心の余裕はありましたよ。
うがいコップを持った時、相変わらず手は震えていましたけどね。
麻のワンピースに染みが出来るぐらい、汗をかいてましたけどね。
いままで避けて、逃げていたツケが回ってきたとは言え、
この歯医者通いは、一体いつになったら終える事が出来るんだろう。
…もう、堪忍して(涙)

そこには大硝子が

観劇レポ。伝統の現代'7「あの大鴉、さえも」。
岸田戯曲賞受賞作を、若手狂言師三人が演出と出演した舞台です。
不条理系の話はやや苦手ですが、これもアリかな?と結構楽しめました。

流石は古典芸能の世界の人だけあり、演技力は安定していますね。
何より、声の響きが半端無く、発声の素晴らしさにはびっくり。
ただ、良くも悪くも、安定感が有り過ぎるのかな?
小演劇に有りがちな、重箱の隅をつつくような無駄に力一杯な演技の方が、
この脚本には似合いそうな気がしたんですよね。どうなんでしょう。

宣伝をあまりしていなかった?経費節約?
パンフレット勿論、ポスターさえ作成していなかった模様。
芸術祭新人賞受賞者の演出、戯曲賞作品の上演、古典芸能人の出演、
そんな三拍子が揃っているのに、認知度の低さが勿体無い公演でした。

目から感じる涼

某商店街を歩いていると、点々とディスプレイされた氷中花を発見。
見た目も涼しげで、道行く人もつい手を伸ばしてました。
ゴム人形が入ったものもあり、そちらは「取れた方はお持ち帰り可」。
子供は勿論、お父さんらしき方々が、やたら頑張っておりました。

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とは言え、お盆を過ぎてから、急に明け方が冷え込むようになりましたね。
朝、目が覚めると手足が冷たく、喉も痛くなっててぎょっとしました。
日中はまだまだ暑いのですが、確実に季節は流れているんだな。

開いたその真ん中

ちなみにこちらは、昨日の蓮の花の3日後の姿。
我が家は昔から、お盆のお墓参りは2回行く事になっています。

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蓮の花って、何だか作りものみたいに見える時がありますね。

おしゃれで有名な某街のすぐ近くにお墓参りのお寺があるので、
お参り終了後は、うきうきカフェ巡りと散策を楽しみました。
子供の頃からそんなアフターが楽しみだったので、
今でもお墓参りには、むしろ率先して足を運びます。
美味しいパン屋さんが多いと有名な地域でもあって、
自分内デニッシュ祭り進行形の身としては、かなり堪能できました。
でも、まだまだ気になる未知のお店も沢山あるので、
今から秋のお彼岸シーズンが楽しみでもあります。

天上に咲く花

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お墓参りのお寺のお庭にて。

あっという間に

お盆休みに姉が帰省してきました。
久しぶりに再会したのですが、彼女はおよそ七割方、
ごろごろ横になっているか寝ておりました。何しに帰って来たんだ…。
まあ、ホルモンバランスの所為で、仕方ないんでしょうけどね。
とりあえず、体だけは大事にして下さい。本気で。

特に用事が無いよなあ…と思っていたお盆休みですが、
気が付けばこの休み期間、まるっと家に居たのは結局一日のみ。
その一日も出掛ける予定でしたが、当日の朝にドタキャン。
目が腫れるほど惰眠を貪りたかったのに、一度も夢叶わず、非常に残念。

もう気にしない

長らくお見苦しい所をお見せしてしまい、申し訳ありませんでした。

ブログデータをちょっと弄って、変な事になっちゃってました。
元に戻そうと四苦八苦しておりましたが、もう降参。
基本パソコン&CGIの知識なんて皆無なので、こうなるとお手上げ。
過去のデータ自体は残っているし、このまま続行します。

無自覚散財症候群

8月のお題

「夏祭り」
囃子は遠く響き、暗闇の狐目は、まんじりともせずにこちらを窺う



今年は夏のセールに行ってないよな…とクロゼットをチェックしていたら、
意外なぐらいに買い物をしていてびっくり。えー、こんなに買ってたっけ?
数だけでみると、去年よりも全然多いかも知れないぞ。
気が付けばお財布がすっからかんになってた理油が、今解明されました。

浴衣の着付けは

街を歩いていたら、どうも近くでお祭りがあるらしく、
浴衣姿の女の子がいっぱい歩いておりました。眼福、眼福。
今年は黒地や白地、紺地をよく目にします。
それにピンクや紫が入った、やや繊細な花柄が多いですね。

それにしても、何気に目に付いたのが、彼女たちの着丈。
今の流行?もともとそんなもの?皆、やたら短くないですか?
足首丸見えは勿論、ふくらはぎの下まで見える人も結構見かけました。
いつもくるぶし真上か、隠れるくらいの長さで着付けていましたが、
これって自分の認識が間違っていたのかな?

…で、現在大学生の女の子にその話をしていたら、
彼女の持っている着付けの本には、
「裾はくるぶしが見える長さ」と記載されている模様。
ええっ、そうだったの?着付けの本、何処に仕舞ったっけ!

甘くてほろ苦い

久しぶりにカフェ部活動へ行って参りました。
雑誌を見ながら、今回目指したのは某チョコレートとマカロンのお店。
今年オープンしたばかりで、国内ではこちらの店舗のみの取り扱いらしく、
一見アイスクリームショップみたいな、ちょっと変わったお店でした。

店内に入り、店員さんに説明を聞きつつ、物色。
ドリンクプラスお好きなもの3点…のセットを注文しましたが、
ミルク系のチョコを2点と、スタンダードなバニラのマカロンをチョイス。
チョコレートはまろやかで、マカロンはやや歯ごたえが有り。
多分食道楽二人が、目をマジにしながら、あれこれ選んでいたからだろうな、
お店の人がチョコを2点、サービスしてくれました。すっごい嬉しい!!

感じの良い店員さんに、いろいろお話を聞きながら食し、大満足。
多分来年のバレンタインには、いろんな百貨店に出店しそうな感じです。

さくっと美味しい

家で作ったデニッシュが失敗して悔しかったので、
パン屋さんにてデニッシュパンを買ってきました。
青森りんごデニッシュと、マンゴーデニッシュと、オレンジデニッシュ。
デニッシュばっかり。むしろデニッシュのみ。幸せ。ふふ…。

やっぱり家で作ったものとは違って、生地は層がしっかりさっくりして、
フルーツととろけるカスタードが相俟って、とっても美味しかったです。
そうだよね、これがパン屋さんの熟練の味なんだよね。
素人がこの味を出そうと思うのが、そもそもの間違いなんだよ、うん。

バターたっぷりだろうなーとか、カロリーオーバーだろうなー…とか、
充分判っちゃいるのですが、この手の誘惑にはとことん弱いです。
食いしんぼ万歳。美味しいは正義。ダイエットは明日から。
今度のカフェ部活動には、パン屋さんも視野に入れようかな。

壊れて消えた

8月のお題、「鬼灯」「夏祭り」「シャボン玉」より、小噺。

ジャンル違い、要注意。
以下、楊太小噺です。



「ただいま、師叔」
「お帰り、楊ぜん」

最近、帰宅がやたら早くなった。残業は極力避け、帰宅途中に近所のスーパーに寄るのも忘れない。同僚に気味悪がられるほど、規則正しく毎日まっすぐ家に帰る。
理由は、彼だ。
「のうのう、桃は買ってきたのか」
「ありますよ、はい、師叔」
買い物袋から取り出すそれを差し出すと、彼は実に嬉しそうに笑う。
テーブルに乗り上がり、自分の頭よりも大きなそれを、両手で抱えるように抱きしめて頬擦りした。

師叔は、何の気なしに買った、鬼灯の実から出てきた。
小憎たらしくて、口が悪くて、我儘で、食いしん坊で、気まぐれで、そしてとても可愛い。
彼のお陰で、味気の無かった毎日が、酷く楽しく思えるようになった。
それは、どれを取ってもさり気無いものばかりだけど…家に帰ると電気が付いていたり、面白い映画を見て感想を言い合ったり、美味しい料理を分け合ったり、声をかけると返事が返されたり…でも、どれも今までの自分の生活には、欠けていたものであった。
どうやら自分は、自分が自覚していたよりも、一人の生活が寂しかったらしい。
彼にそれを知らされるまで、全く気付かなかった事だけど。

「む、何だこれは」
スーパーの袋の奥に押し込まれていた、それに気が付いたようだ。
大好きな桃を隣に置くと、よいしょと身を乗り出し、袋の中へと頭を潜り込ませる。取り出したのは、瓶を形取った、極彩色の安っぽいプラスチックケース。子供用の玩具のシャボン玉だ。
昔懐かしいそれに、ほお、と師叔は目を瞬かせた。

庭に面した窓を開け、ケースの蓋を開けると、付属のストローを差し込んで。
「はい、どうぞ」
支えてますけど、大丈夫ですか?
「うむ」
子供用のストローも、小さな彼には頬張る程に大きい。大口を開けて咥えると、師叔は思い切り息を吹きかけた。
ストローの先からは、オーロラ色のシャボン玉が、無数に宙へと吹き飛ばされる。黄昏空の色をそのまま映し出した儚い半透明の球体は、ふわりふわりと夏の庭を漂った。
「綺麗だのう」
「そうですね」
いつも利用している駅前スーパーは、只今絶賛夏祭りキャンペーンの真っ最中だ。そのくじ引きに参加したのだが。
「参加賞は、これだったのか?」
「一等は南の島の旅行券で、二等は高級桃の詰め合わせだったんですけどね」
結構狙っていたのに、残念です。
「お主のくじ運も、随分乏しいのう」
かかか、と笑う師叔に、わざとらしく目を見開く。
「僕、くじ運は良いんですよ。もの凄くね」
「これでか?」
「だって、ほら」
つん、と指先で小さな鼻先をつついてやる。
「僕のくじ運って、最高じゃないですか」
何と言っても、ここに貴方がいるんですから。あんなに沢山の鬼灯があった中から、貴方を当てたんですよ。
にっこりと優しく笑うと、師叔はじいっと見上げてきた。
そして、はっと思い出した様に我に返ると、落ち着きなく視線を動かし、もごもごと口の中で何かを言う。聞きとれない音量に、何ですか?と顔を寄せると。
「だったら、わしの方がくじ運が良いのだっ」
あれだけ沢山の人の中から、お主に当たったのだからのう。
怒ったようにそう言うと、誤魔化す様にシャボン玉のストローを頬張った。
真っ赤に膨れた師叔の頬は、ほんのり朱い。成程、やっぱり、彼は鬼灯の精かも知れないな。だってその色は、夕焼けよりも、熟れた鬼灯の色に近いじゃないか。

彼の作るシャボン玉は、大きく膨らみ、宙へ漂い、そしてぱちんと跡形も無く消えた。
もうすぐ夏が終わる。
庭の隅には、枯れ始めた鬼灯の鉢植えが、静かに佇んでいた。



最初は「鬼灯」だけのつもりでした。

黄昏を見上げる

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BGMはひぐらし。

その手を掴んで

8月のお題、「夏祭り」より、小噺。

ジャンル違い、要注意。
以下、悟チチ小噺です。



櫓を建て、飾り付けをし、出店の準備をして、夏祭りはささやかに、和やかに催された。
都から離れた田舎だけに、住民の殆どが高齢者の村である。
そんな中、体力のある若い力持ちは、随分重宝された。
大食漢の胃袋を支えた料理の腕は、酷く喜ばれた。
新参者の新米夫婦が、この村に受け入れて貰えたのだと実感できて、嬉しかった。
生活をするこの場所で、皆の役に立てた事が、必要とされた事が、誇らしかった。

「夏祭りなんて、オラ初めてだったぞ。すげえ、楽しかったな」
祭りの終わった帰り道、そう言って夫は無邪気に笑った。

通常人が生活を営む中どうしても何ら形で社会や地域に関わりを持つ。
しかし彼には、生まれた時からそれがなかった。
祖父亡き後は一人で、山を出た後は、そのまま修行三昧の生き方をしてきた彼だ。
それが悪いとは思わないが、酷く寂しい生き方だ、と思えた。
確かに夫は、普通では考えられないような経験もしている。
生死を渡り合った、真の友達がいる事は知っている。
その力が神さえも超え、世に尊ばれる事も知っている。
だけど、この人には「根」が無い。
浮いているのだ。

夏祭りなんて、田舎でも都会でも、何処でだってある。
でも多分、夫が知らないのは夏祭りだけで無い。
自分は、ささやかでごく普通の経験を、当たり前に親が与えてくれた。
しかしそんな時、彼は黙々と肉体を鍛える事だけに、全てを費やしてきたのだ。
ただ一人、この世の「当たり前」さえ知らず。
誰かに何かを与える事も、与えられる事も、日常の中で必要とされる事も無く。

「なあ、悟空さ」
「ん?」
「来年も、再来年も、その先も、また一緒に夏祭りに参加しような」
「ああ、そうだな」
自分は、彼を繋ぎ止める、杭にならなくてはいけない。
今はもう、世の中は平和になったのだ。
彼が犠牲となり、たった一人で世界を背負う必要はない。
ふわふわと浮いてしまう彼の腕を、人として生きる為に、繋ぎ止めなくてはいけない。
「来年の夏祭りも、楽しみだな」
当たり前の幸せを与える事が出来るのは、彼にとっての家族である、自分なのだ。



走り書き。
生物学的に、人間は群を成す動物だそうです。単体では生き残れない。
もっときちんと練って、形にしたいエピソードの一つ。

ブルーベリーで

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デニッシュパンを作ってみました。勿論、失敗。
私には難易度が高過ぎました。がっかり。

パン屋さんで売っているような綺麗な層が出来ず、
打ち粉を多く使い過ぎて、粉っぽくなっちゃいました。
パイ生地なんかは、真夏に作るもんじゃないな。
暑くて生地が、直ぐにでろでろになってしまうんだもん。

去年はベーグルとかバターロールを沢山作っていました。
やりだすと、パン作りって結構面白いんですよね。

王子さまとお姫様

ハーレクインネタでGO!第三弾。ロイヤルウェディング編。
ジャンル混合要注意。



●楊太の場合
動物病院で働く太公望は、院長の代理で国王の愛犬である
哮天犬の出産に立ち会う為、宮殿へ赴く事になった…!?

・動けなくなっていた海鳥を助けた師叔に
太「見て下さい、王子。綺麗な鳥だのう」
楊「…判っていないのは貴方ですよ」
太「殿下?」
楊「綺麗なのは、貴方の方です、師叔」

・クッションに横になる王子に抱き寄せられて
楊「貴方もほら、一緒に寝ましょう。もう2、3時間で夜明けですから」
太「殿下がこんな所で眠るなんて。哮天犬にはわしが付いています」
楊「僕の事は、貴方になついているレトリバー犬だと思えば良いです」
太「…おお、成程のう」
楊「あっさり納得するんですね(苦笑)」
太「何を言うか、レトリバーは良い犬だぞ」

王子様でも、師叔には敬語。
元ネタはこちら



●悟チチの場合
小国の王女チチは、間もなく身勝手な大国の王子と政略結婚する。
チチには、幼い頃より淡い恋心を抱いた悟空侯爵がいたのだが…!?

・幼い頃の、淡い思い出。
チ「ここはお城の古い地下道だべ」
悟「姫に危険が迫ったら、オラが此処を使って助けに来るさ」
チ「ふふ、本当に?悟空さ」
悟「約束だ、姫」
チ「じゃあ悟空さを、おら付きのナイトに命じるだよ」
悟「(膝をついて)ありがたき名誉です、殿下」

・大人になって、苦しい再会。
悟「多忙の王子の代わりに、花嫁になるおめえを迎えに来たんだ」
チ「おらはもう子供でねえ。嘘をつかれる方が傷つく大人だべ」
悟「そうか…だけど、オラはおめえのナイトだからな」
チ「憶えててくれたんだなや」
悟「約束しただろ。生涯をかけて、オラは姫を守るって」

チチさんがお姫様ってのは、違和感ありませんね。
元ネタはこちら

両親に感謝する日

8月のお題...鬼灯・夏祭り・シャボン玉

「鬼灯」
黄昏時の向こうに、茜色の提燈が灯る。黄泉の道へはどちら?



先日、サプライズでお誕生日のお祝いをしてもらいました。
プレゼントを送ってくださった某御方にも心より感謝。
とってもとっても嬉しかったですv

夏休みのまっただ中に誕生日を迎えるので、
子供の頃は友人にお祝いってしてもらう事は殆ど無かったんですよね。
この年齢になると誕生日なんていらない!とも思えちゃうけど、
それでもお祝いしてもらえると、照れくさいけど、やっぱり嬉しいです。